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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

ひどい話し

2017年10月11日 公開 / 2018年2月13日更新

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

欠陥住宅の相談電話

先日ネットを見たと云う方から、電話でご相談がありました。その方曰く大手のハウスメーカー(聞けば誰でもご存知の超大手ハウスメーカーです)に依頼して家を建てたのですが、欠陥住宅に心を痛めているとの事でした。
内容は、家の中がカビだらけでいつも湿気ている。外壁に取り付けてあった看板が落下した。と云うものでした。
原因は、外壁から水が回り込み、常に湿気た状態で屋内側の壁紙の糊がカビてきた模様です。
通常であれば、仮に外壁にクラック等が発生して内部に水が入り込んでいても、防水シートが入っており、それ以上内部へ水は侵入しません。
普通であれば、外壁から侵入する湿気よりも屋内で発生する湿気の方が多い為、カビが発生した場合は換気方法の改善を検討するのですが、それでは看板が落下した理由がわかりません。

写真を見ると

不審に思い落下した看板の写真を見て驚いたのですが、外壁(窯業系のサイディング)を固定する為の下地として通常は構造用合板を張るのですが、構造用合板ではなくプラスターボードが張られていました。プラスターボードではビスは固定できません。他に受け材が無い場合、施工してほどなく看板等重いものであれば落下が容易に予想できます。
そればかりか、プラスターボードは通常の屋内で使用するプラスターボードで、外部に用いると水を吸い、膨張し本来の強度を保てなくなってしまい、これがカビと看板落下の原因ではないかと思います。そもそもプラスターボードは外壁下地として基本的には用いない材料です。仮に防火対策等で不燃材の使用が不可避なのであれば、外壁に用いる事の出来る耐水プラスターボードを用いるべきです。
そこのハウスメーカーのパンフレットを見てもサイディングの下地は構造用合板になっています。しかもこの地域は防火地域・準防火地域と云った火災に対し注意が必要な地域でもありません。全くもって理解不能な施工がされているのです。

メーカーの説明は

それに対しメーカーは、防火対策の一環として不燃材であるプラスターボードを使用した。看板落下やカビとの因果関係は認められない。これ以上の話し合いは弁護士を立てるので弁護士を相手に交渉してほしいと云うものでした。
相談者さんは、費用的な問題から弁護士を立てる余裕もなくこのまま泣き寝入りしないといけないのかと途方に暮れておられます。

問われる企業の姿勢

最近自動車会社の不正検査や、製鉄会社の製品データ改ざんが話題になっています。ここのハウスメーカーでも住宅全てが、パンフレットでは構造用合板を謳いながら実際の施工は、通常外壁には用いないプラスターボードで行われていたなら、大きな社会問題となったはずです。
この問題は個別の例として、標準的でない施工をされたのだろうとは思いますが、この様な個別の欠陥問題にこそ真摯に目を向け、適切な対応をとる事が大手企業の社会的責任なのではないでしょうか。

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