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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

問われる耐震等級の見方

2017年11月9日 公開 / 2018年2月13日更新

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

高まる耐震化への意識

最近全国各地で震度3~4程度の地震が頻発しています。大地震の前触れではないかとの噂も流れていますが、統計学的に見れば、あながち流言飛語とも言い切れません。今後30年間に70%の確率で南海・東南海地震が発生すると政府が発表していますので、今後新築する建物は30年以上は建ち続ける事を前提に建てているでしょうから、大地震に遭遇する事を前提にする事が重要です。しかし、建築の専門家でも建築基準法さえ守っていれば問題は無いと考える人が多くいます。昨今の地震の倒壊例から建築基準法を遵守するだけでは、生命の安全を守れない事例が頻発しています。

耐震等級2の家が倒壊

多くの建物が倒壊した熊本地震では、建築基準法で定められた基準よりも厳しい基準で建てられた住宅も倒壊しました。長期優良住宅の仕様で建てられた、耐震等級2(建築基準法の1.25倍の強度)の住宅が倒壊したのです。
この事は一般の人よりも、建築専門家にとってショッキングな出来事でした。耐震等級2でも人の命を守る事が出来ないのであれば、建築基準法を満たしただけの建物では尚更危険だと言う事を示しています。
その為、何故耐震等級2の家でも倒壊したのか倒壊のメカニズムを検証が産学一体でなされました。
その結果判明しつつある事は・・・・

耐震等級も二通りの出し方がある

住宅性能表示制度では、耐震等級の高等級を確保し易い為に、許容応力度計算(構造計算)に替わる簡易的な耐震性能の算出方法を認めています。耐震等級2で倒壊した住宅はこの簡易な算出方法で耐震等級を取得していました。
本来簡易的な方法は、どの様な場合に於いても安全となる様に、許容応力度計算よりも安全率を高く取り、それを以って安全を確保するものだったのですが、全ての面に於いて安全ではなかったのが倒壊の原因につながったのです。
この倒壊した建物は書類で建設時の資料が残っていましたので、その資料を基に許容応力度計算を行いますと、耐震等級1しか取得出来ない事が判明したのです。通常は許容応力度計算結果よりも簡易計算の方が安全側の結果が出るのが一般的なのですが、例外があったという事です。
私たちもこの結果を踏まえ、簡易計算と許容応力度計算の信頼性を見直す必要に迫られています。
①簡易計算の耐震等級2=許容応力度計算の耐震等級1
②簡易計算の耐震等級3=許容応力度計算の耐震等級2
と云った認識に改める必要があるという事です。
最低でも許容応力度計算を行い建築基準法上の安全を確認する。(簡易計算の耐震等級2を確保する)
今まで日本で発生した地震ではどの様な状況でも倒壊しない家を目指すのであれば、許容応力度計算で耐震等級2以上を目指すべきだという事です。

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