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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

建売住宅と変わらない費用で注文建築が可能な時期になりました

2018年7月25日

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

建売住宅と注文建築は何故差別化されるのか

一般に建売住宅は安く、注文建築は高いというイメージがあります。実際には建売住宅でも注文建築より高く、注文建築でも建売並みの価格の建物もザラにあります。価格で差別する事は難しいのです。
使っている材料でしょうか。一般に建売住宅に使われている材料は大量生産品が多い様です。注文建築も大量生産品も使いますし、大手ハウスメーカーも大量生産品の権化ですから、使っている材料で差別する事も出来ません。
実は、材料や値段では無く、出来上がっていく過程で、しっかりとした製品管理が行われているかが違います。
また、建売住宅は不特定多数の購買層を相手にする為、一般的な間取りになってしまいます。個人住宅と云うのは個人の顔がそれぞれ違う様に、個人に特化させるのが本来の姿です。その為不要な部屋があったり、部屋数が足りなかったりするのです。

建売住宅にもメリットはある

二・三件の小規模開発は別として、数十件~数百件規模の開発はインフラやライフラインが整備されています。
道幅も団地内は整備され環境が保たれます。入居者世代も同じ年齢層となるので、子育て環境が良くなります。
また、立地条件も万人受けする好立地に建てられるケースが多い様に思います。

建売住宅のデメリット

デメリットは、その逆で、新しいうちは綺麗な街並みですが、一斉に古くなり入居者も高齢層が多くなり、街として人気が無くなり、資産価値が下がってしまう事です。
また、建売は仕様が規格統一する事により、コストダウンを計っていますが、そのコストダウンが消費者に還元せず、建売業者の儲けになってしまっています。
規格統一している為どの家も似た様な間取り・外観で、個性がありません。新しく綺麗なうちはそれで良いのですが、古くなると急激に資産価値が無くなり、30年もすれば土地値だけで売買されています。
ローンの払い終わる頃には生涯を掛けて返済してきた自分の資産が土地はともかく建物は無価値になってしまいます。土地も前述の通りで人気の無い土地(値段の下がる土地)になってしまいます。

賢い住まい選び

建売住宅は、特に素材が悪い訳ではありません。建売住宅で使われる断熱材にグラスウールがありますが、私もよく使います。肝心なのはその施工方法が間違っていないかどうかなのです。幾ら良い素材を使ってもその施工方法が間違っていれば十分な性能を発揮しません。
施工をしっかりと監理する設計者が、建売の現場は不在なのです。建築確認申請で、監理する監理者の名前を明記する「工事監理者選定届」を添付するのですが、建売の現場では、経済的理由から有名無実の書類となっています。
そこが間違った施工や、手抜き工事の温床となり、建売住宅の品質を下げ、建築紛争の原因となり、注文建築との差別化の原因となっているのです。

狙い目は古い?ニュータウン

最近「建売を購入しようか、土地探しから初めて注文建築を建てようか」と云う相談をよく受ける様になりました。
新しいニュータウンは人気があり高値で取引されます。購買層の世代もほぼ同じで子育て世代が中心となりますので街全体に活気があり、益々イメージを良くしています。その為人気があり土地値も高いです。
出来上がって数十年経つニュータウンもあります。街区として成熟し、若い人は二世帯住宅を除けばほとんどいません。
当然ながら活気は無く、人気が無い為、土地値は安くなっています。
しかし、野中の一軒家と違い、インフラやライフラインは整備され、ポテンシャルとしては、新しいニュータウンと何も変わらないのです。
そういう町は、空き家が目立ち、売り家の看板も多く見かけ、益々人気を下げているのですが、ここは考えようです。
売り物件を買う人はこれから子育てを行う若い世代なのです。老人が多い街だから老人が買う訳ではありません。
安い土地値でインフラの整った土地が手に入るので、ここが狙い目なのです。成熟して高齢者ばかりの街になっても高齢者ばかりがいつまでもいる訳ではありません。世代交代が進んで、また新しい人が集まり始める転換期に、古いニュータウンは差し掛かっています。
新婚時代に、都心の賃貸マンションで暮らしていた若夫婦が、本格的な子育てをする為に、郊外の古いニュータウンの安い土地を物色する時代が始まっています。

この記事を書いたプロ

福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(岡田一級建築士事務所)

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