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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

押入れの役割

2013年9月26日

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 畳 掃除畳 張り替え

押入れって何でしょう?

幅が1.6mちょっとで奥行きが0.8m程の空間です。中に中段と呼ばれる仕切りがあって、中には天袋がついている押入れもあります。日本人が畳の上で寝ていた頃は布団を収納する空間として毎日利用していました。もちろん畳の上で今も寝ている人はそう言う使い方をしているはずです。
日本人がベッドで寝る様になってから、押入れの意味が問われ始めています。幅はともかく奥行きは何故0.8m程なのでしょうか?布団を折りたたんで収納するのに都合が良かったのですが、ベッドになって布団を収納する必要がなくなり、0.8mの妥当性がなくなっています。押入れにぴったりと収まる収納ボックスもありますが、その収納ボックスでさえ服を二枚横並びに入れるには中途半端なサイズです。
服を収納するのであれば、人の肩幅程度の奥行きがあれば充分です。使い勝手から言うともう少し奥行きは短い方が使いやすいサイズとなります。

今の押入れには布団は入っていません。普段使い以外の寝具は真空パックでペタンコになって押入れに収納する必要も無くなっています。では押し入れには何が入っているのでしょう?実は多くの家では何も入っていないのです。勿論空っぽと云う訳ではありません。布団が収まっていた頃に比べてぴったりと収めるモノがなく、隙間だらけの収納スペースになっています。
その割に、部屋の中が片付いていません。使いやすいもの・いつも使うもので部屋の中は雑然としています。
部屋が狭いので広くしたいと云うリフォームのリクエストが多いですが、理由を突き詰めて聞いてみると、普段使いするモノを部屋の中に置いているので、部屋が狭くなっているのです。押し入れが空っぽで部屋が雑然としているのが、今の住まいです。
それは押入れの使い勝手の悪さから来ているのだと推測します。普段使いするものを簡単に素早く直せないために、部屋の中の見えるところに置くようになり、それが常態化して部屋がどんどん狭くなっていくのです。

これからの家は、押入れと言う固定観念を捨てて、部屋を広くする為の収納空間のあり方を考えて行く必要があります。

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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(岡田一級建築士事務所)

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