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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

家造りの秘訣は環境と調和することです。

2013年5月29日

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

高気密高断熱住宅を志向される方からの相談を受けました。
どのハウスメーカーが良いか悩んでいるそうです。ハウスメーカーのカタログを見ていると「Q値○○」と云った文言を良く目にします。Q値が低いほど断熱性能は良いのですが、家が住みやすいとは限りません。
Q値を簡単に説明しますと、建物の外部を屋根・壁・窓・床下に分けて、どの部分から熱が逃げているかを算出して、逃げた熱(熱損失)の合計を床面積で割って小さな家でも大きな家でも同じ様に比較できるようにしたものがQ値です。云ってしまえば、断熱性能の坪単価の様なものです。
坪単価が安ければ良い建物かと云うとそうではありません。Q値も同じです。
Q値の性能を上げようと思えば、熱が逃げるのが最も激しい場所(窓)の面積を小さくすることです。土蔵の様な家を造ればQ値は簡単に落ちます。そんな晴れた日でも照明が必要な家が快適であるはずがありません。
Q値は間取り条件や、窓の大きさで随分変化するものだという事を認識していないと、カタログデータだけを信用してしまい、間違った選択をすることになります。
高級な断熱材を用いて、力任せにQ値を下げる方法もありますが、廉価な断熱材でも間取り次第でQ値の低い家を造ることも可能なのです。

最も大事なのは、その敷地は何処から何処へ風が抜けるのか。年間を通じて日当たり具合はどうなのか。眺望はどちらの方角が開けているのか。そう云った周辺環境の方が家の性能に大きく関係します。
「既設のプランが丁度敷地に当てはまるから、このプランの家を買う」みたいな選択をすると失敗します。敷地にプランが当てはまっているだけで、風通しや日照・眺望が全く考慮されない為です。
大きなニュータウンには同じ様な区画が並びますが、それでも一区画位置がずれるだけでプランが大きく変わります。そう云う肌理の細かい間取り造りをしなければ、Q値を下げても快適な家にはなりません。

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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