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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

住まい再好築【中古住宅を改造する1】

2016年3月14日 公開 / 2016年3月28日更新

テーマ:【住宅再生】

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 畳 掃除畳 張り替え

実際にある物件です。価格は土地建物込で1080万円です。


築年数が古い為に、建物本体の不動産価値はなく殆ど土地値です。但し不動産価値が無いのと、物理的に耐用年数が終わっているのとは異なります。手を加えれば新たな価値を生み出す事が可能なのです。
これと同じ建物を仮に新築するとなると、2000万円前後になります。土地と合わせて3000万円を超える物件です。実際に隣家は新築されていますが、それに近い費用を出費されているのではと想像します。
この家の骨組みを再生して、新築と同等の強度を得る事は可能です。木造住宅の利点は、傷んだ場所は取り換える事が可能な事です。シロアリの被害を受けても傷んだ部位だけ取り換えれば、従前同様の性能を発揮します。
そのためには、従来のリフォームの様な中途半端なお金の掛け方は控えるべきで、建物の内部の仕上げ材をそっくり撤去するくらいの再構築が必要なのです。そこまで思い切っても1500万円程度の出費ですみます。つまり3000万円を超える不動産を2500万円で手に入れる事が出来るのです。
500万円の宝くじは一生掛かっても当たらないでしょうが、500万円を節約する事は簡単に出来るのです。しかも既成の間取りに制約されず自由な発想で間取りを変えられるのが、木造住宅の良さです。

この物件は東側道路の中家で、南北と西面は隣家が建て込んでいます。そのため一階の奥の洋室は昼間でも照明が無いと生活できません。また二階も四帖の和室があるのですが、納戸を通らないとそこまで行けません。
いっそうの事、和室4帖を吹き抜け空間としてLDKに光を落してやる方が間取り的には快適になります。
一階も主要な柱は残すにしても間仕切り壁を撤去して大きなLDKにすれば家全体を活用する事が出来ます。
吹き抜けに隣接する納戸4.5帖と和室4.5帖は洋室の9帖にして子供部屋として使います。奥の和室10畳も洋室にします。
そうすれば家族四人がゆったりと暮らす家が出来上がるでしょう。新築と変わらないほど改造しても1500万円ほどで済みます。

袋小路の突き当たりの家ですので、車が方向転換できるように玄関の位置を南側に持っていきます。使い道のない洋室の代わりに、シューズクロークを設けます。キッチンが暗い印象を受けますが、実は二階の床を取り除き吹き抜けにすることによって、二階から採光を確保します。この吹き抜けは子供室とつながっており、二階の子供の気配を感じる事が出来ます。
居間を整理して視覚的に広く見せます。

寝室のみを独立させ、子供室は吹き抜けを介してキッチンとつながっています。また、クロークとトイレを作ります。

最近の建売住宅は、安価なものも出回っていますが、間取り自体は30年前の間取りと変わっていません。一階には用途不明の和室があり、二階は個室が無造作に詰め込まれています。
昼間から照明が欠かせないLDKがあったりとても快適とは言えません。それであれば、中古住宅を購入して自分たちの好きなように手を加えて住む方が良くはありませんか?古い住宅を再び好きな様に築き直す【住まい再好築】の発想です。

住まい再好築とはhttp://mbp-japan.com/osaka/oado/column/27871/

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