マイベストプロ大阪
福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

木造住宅の「構造計算は不要」を信用してはいけない

2018年3月12日 公開 / 2018年3月13日更新

テーマ:【住宅再生】

コラムカテゴリ:住宅・建物


木は鉄やコンクリートよりも地震に強い

地震災害のたびに木造家屋の倒壊がクローズアップされます。木造は地震に弱いのでしょうか。
実は、素材だけで比べると、木が鉄やコンクリートよりも強い事が判ります。
(参照コラム)なんと!木造住宅は鉄骨や鉄筋コンクリートの家より地震に強い
しかし、それでも地震になると倒壊件数が最も多いのは木造家屋なのです。
この矛盾は一体何故なんでしょう。

木造住宅は弱いのは構造計算をしない為

建物を建てる時、構造計算を行って安全を検証するように法律で義務化されていますが、木造住宅の場合構造計算書の申請義務がないのです。
申請義務が無い事を構造計算をしなくても良いと勘違いされている建築関係者も多く存在します。
何の根拠もない勘や経験だけで、構造計算されないまま今でも多くの木造住宅が建てられているのです。
勘や経験が何の役にも立たず、大地震が発生すれば数多くの木造住宅が倒壊して非常に危険である事は、阪神大震災や熊本地震で証明されています。

家を建てる時は構造計算を行って下さいとはっきり言いましょう

木造の構造計算は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べ複雑で、木構造を熟知した建築士でないと行う事は出来ません。建築構造事務所でも木構造は扱わないと云う事務所も数多くあります。
しかし、構造計算を行わないと、地震時にどの様な力が建物に加わり、どの部材を通って地盤に伝達されているのか数字で判断出来ません。数字で地震の力を把握して、その力に耐えられる部材を選定しなければ、勘や経験で家を建てている事になります。
家を新築する際には、「構造計算によって安全を確認してください」とはっきり言いましょう。何も言わないと構造計算の申請義務が無い事を理由に構造計算してもらえません。
今までがそうでした。もしも、ご自宅に家を建てた際の建築確認申請書があれば調べてみてください。申請書以外に簡単な配置図・平面図・立面図・断面図しかなく、構造図や構造計算書はついていないはずです。

地震に不安のある方はご相談下さい

業者さんが「構造計算は不要です」と云っても信用してはいけません。「不要」の意味は申請しなくても良いと云う意味で、構造計算をしなくても良いと云う意味ではありません。

私は、木造住宅でも構造計算を行い、住宅を設計しています。構造計算は費用が掛かる話しですが、逆に構造材の無駄も省けますので、トータルコストとして建設費を安く抑える事も可能です。
建設費を安く抑えて、地震に強い家が得られるのであれば、これに越した事はないのではないでしょうか。

この記事を書いたプロ

福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(岡田一級建築士事務所)

Share

関連するコラム

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ大阪
  3. 大阪の住宅・建物
  4. 大阪の注文住宅・住宅設計
  5. 福味健治
  6. コラム一覧
  7. 木造住宅の「構造計算は不要」を信用してはいけない

© My Best Pro