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小橋広市

元建築家。女性の起業サポートするコーチングのプロ

小橋広市(こばしひろ) / 講師

一般社団法人Self&Lifeコンディショニング協会

コラム

認知症の新たな個性を受け入れるには

2019年10月1日 公開 / 2020年10月25日更新

テーマ:認知症介護者の憂鬱

コラムカテゴリ:スクール・習い事

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

「遠距離認知症介護者の日記」のテーマの記事は、お袋が認知症になった初期の頃を記録として残すためにアップしています。

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ここから2014年4月24日の話


今回の帰郷で数年引いてなかった風邪を引いてしまった。東京から帰ってすぐに倉敷に移動したので、多少疲れが出たのかも知れない。

東京での出来事は又、次の機会に記すとして、今回、帰郷したのは、お袋の介護のケアプランを立てるのが目的。お袋は糖尿病と心臓が悪い上に認知症の薬まで増えたのでまさに薬のオンパレード。

これからは、私でも飲み忘れるような量を飲まなければならない。認知症になってから持病の薬の飲み忘れが続くので、検体検査の結果が思わしくなく、やむなく訪問介護を依頼することにした。

先日、行なった彼女の脳のMRIの検査結果は、脳の萎縮はなかったが、過去の梗塞が数カ所あり、認知症の症状の直接の原因は前頭葉の一部の血管に問題があり、詳しいことは血流検査しないと解らないとのこと。

検体検査の結果が悪かったので医者からこっぴどく叱られ、お袋には悪いが「頭の中の爆弾がいつ爆発してもおかしくない状態だったぞ」と検査結果を少し大袈裟に説明告した。

お袋は「爆発」という言い回しが気に入ったらしく何かと言えば、「私の頭はいつ爆発するか分からんのか?ありゃりゃ」と楽しそうだ。危機感を煽って薬を飲まそうとしたが、せっかく言葉遊びをしているので、私も付き合って大笑いをした。

お袋に認知症の症状が大きく出始めたのが今年の1月。私が一番、辛い時期だったのが2月。それは突然訪れ、受け止めれないまま自分ができることを淡々とやっていた。

自分のことを犠牲にしながらやっているのに、泥棒呼ばわりされ、情けなさと怒りでお袋を罵倒しては後悔という日が何度かあり、電話が億劫になった。

そんなお袋が、最近では私のことを信頼してくれるようになった。


【信頼関係を築くためにしたこと】

・実家に届く請求書の全てを京都に転送し、 お袋の財布からお金が出ていかないようにした。

・水道光熱費の請求を年金の通帳から引き落とす手続きを取り 一目瞭然で収支の流れが解るようにした。

・年金を引き出す時には必ずお袋と私の二人で行き、二人で行かないと引き出せないということを確認させた。

・「通帳を管理する」と言わず「お袋の大切なモノを守らせてほしい」 と言い、帰郷した際には記帳した通帳を確認してもらうようにした。


【精神的なこと】

・一人住まいをしていても、多くの人が見守っていることを 伝えながらお袋の尊厳を意識するようにした

・「こんなことをしてはダメ!」という否定形を会話に使わず、「こうした方が良いと思うよ」という肯定形を使うようにした

・たまに出るお袋の酷い言葉を笑って流すようにした

・お袋の妄想を否定せず、私も妄想の中に入りこんで役者になって演じた

・妄想の中に登場する人物が、お袋にとってどのような意味があるのかを興味をもって聴くようにした

これらのことを実践していると、徐々に信頼関係ができてくる。ここまで極端ではないが、これらは通常の社会でもあるのではないだろうか。

「認知症は何を言っても忘れるから無駄!」と決めつけず、何度でも諦めずに尊厳と愛情を持った言葉で脳に刷り込む。そうすることで必ず潜在意識には残ると信じている。

全ての人に当てはまるとは限らないが、もし、参考にできるなら試してみてほしい。


ここから現在


これらのことは計画的にできたわけではありません。試行錯誤しながら、お袋にとって最も受け入れてくれそうな項目をふるいにかけた結果です。

お袋は几帳面で、コツコツと貯金をして通帳を見てニンマリするタイプ。人間関係は友人が多く、少し頑固で義理人情を大切していました。

このようなお袋の性格を理解した上で、上記の項目を実践していました。


参考になれば幸いです。


【小さな実践】
認知症の方に対して、一般的な知識と思い込みで接しないで、まず新たな個性を受け入れるのが最優先


 

この記事を書いたプロ

小橋広市

元建築家。女性の起業サポートするコーチングのプロ

小橋広市(一般社団法人Self&Lifeコンディショニング協会)

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