マイベストプロ京都
小橋広市

元建築家。女性の起業サポートするコーチングのプロ

小橋広市(こばしひろ) / 講師

一般社団法人Self&Lifeコンディショニング協会

コラム

バイアスは期待値のハードルを上げる

2019年5月4日 公開 / 2020年10月25日更新

テーマ:関係性コンディショニング

コラムカテゴリ:スクール・習い事

クレーム


商売をしている人ならお客様からのクレームにドキッとしたことがあると思います。

私も建築設計をやっている時にはお客様だけでなく施工業者からのクレームもありました。一方で、何十年もやってるステンドグラスのお客様からのクレームは一度もありませんでした。

何故か?

私の作風が気に入っているファンのお客様は別として、ステンドグラスのお客様は、ほとんど初対面です。なのに何故、クレームが発生しないのか同業者から聴かれたことがあります。

理由かどうか分かりませんが、完成を急ぐお客様の依頼を受けないと決めていました。加えて、お客様が参考写真を持ってきて「こんな感じでお願いします」一見、やりやすそうなお客様もやんわりとお断りしていました。

参考写真を見た私が受けるイメージと、同じ写真を見たお客様のイメージのギャップがお断りする理由です。

お客様と私とでは、ステンドグラスに関わった時間が違います。私は何十年もステンドグラスに関わっているので写真だけで素材やガラスの透過率まで想像できますが、お客様は写真で見たガラスの色合いだけのイメージです。

このような双方のギャップは短時間では埋まらないので、通常、1週間で完成するような作品でも1ヶ月くらいかけてイメージを合せながらお客様の期待値に近いところまでギャップを埋めます。

ステンドグラスは、自然光との共演です。部屋の壁や床を舞台とした色とりどりの役者を演出させます。それらをお客様にイメージしてもらえたら作品は完成したようなもの。

和ステンドグラス

期待値


このように、お客様の「こんな感じ」をより具体化し共通視野にするには時間がかかるということです。これは人間関係も同じで、自分と他者との期待値はそれぞれ違うのが当たり前です。

これらの期待値は本人にとっては全て正しいことが厄介ですが、期待値が違っていても私たちは理性や社会通念の中で考え、双方のズレをすり合わせをしながら関係性を保っています。

期待値を言い換えると◯◯するべきとか、◯◯すべきではないという自分の信念や大切している価値観を相手に投影したものです。

良かれと思って・・・

喜んでくれると思って・・・

そんなに怒るとは思わなかった・・・

これらは自分の経験や知識の中で、相手はこう思ってくれるだろうと勝手にバイアスをかけて期待値を上げています。

私が思っている青は海の青、あなたが思っている青は空の青だったとしたら同じ青でもまったく異なります。

お互いの経験や知識、環境の差で「青色」のイメージが違ってくるので時間をかけて、双方の言語をすり合わせをするしかありません。

お互いの思い込みを前提に話すと確認が必要になります。会話がなくなったカップルやご夫婦も、面倒くさいかもしれませんが、確認しながら会話していると思い込みや新たな発見があるかもしれません。

何でもスピードの時代かもしれませんが、コミュニケーションくらい時間をかけて楽しむ余裕があると良いですね。

よかったら参考にしてみて下さい。



【小さな実践】
家族全員で、自分の「べき」を最低でも10コ以上付箋に書いて、みんなが確認できるところへ貼っておく


 

この記事を書いたプロ

小橋広市

元建築家。女性の起業サポートするコーチングのプロ

小橋広市(一般社団法人Self&Lifeコンディショニング協会)

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