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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

残響時間の善し悪し

2013年2月25日

テーマ:【カフェテラス】

コラムカテゴリ:住宅・建物

オーディオに興味のある人からリスニングルームの依頼を受ける時、残響時間に気を使います。一概に残響時間が長いと音が良く聞こえます。エコーマイクと同じ効果が働きます。
その代わり長すぎると音が不鮮明になり、はっきりと音色まで認識することが出来ません。会議室や演劇芝居のホールを設計する時は残響時間を短く、交響曲や音楽専門のホールを設計する時は残響時間をやや長めに設定するのが普通です。

昨日、関西フィルの定期公演で、初めて福島区のシンフォニーホールへ行きました。このホールは機械的に残響音の長さを変えられる様になっているそうです。どの様なジャンルの音楽でも最適な音源が得られる様になっているのだそうです。ホールは満席の時と空席が目立つ時、また冬服を着ている時と夏服を着ている時でも音色が変わると聞きます。
それらを機械的に調整して最適な音色にする事が出来るのだそうです。

ここ半年ほどの間にクラシックコンサートを三回ほど行く機会があり、そんな中でのシンフォニーホールでした。初めて聞いた感想ですが、このホールは楽器のそれぞれの音がはっきり聞き分ける事の出来るくらい、残響音が短いと感じました。奏者がミスした音まで客席に伝わります。それを奏者が知っっているのかどうか、緊張感がピリピリと伝わるコンサートでした。他のホールなら少しのミスなら残響音の中にまみれ、気にならないのですが、全てが判ってしまうくらい音がクリアに聞こえます。
残響音が短い割に音は大きく聞こえますので、確かに良いホールなのでしょうが、ここで演奏する奏者の技量もはっきり判る残酷なホールでもあります。

演奏が終わり、観客が拍手をしても、他のホール程場内に響き渡りません。

このホールで観客を唸らせるには、相当の技量が必要です。

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福味健治

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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