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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

造り手都合のデザイン

2012年11月3日

テーマ:【カフェテラス】

コラムカテゴリ:住宅・建物

デザインは使う側の都合で決まると思いますか?
優れたデザインは多くの人の支持を受けます。そう云う意味では使う側がデザインを決定していると云えますが、選択する余地がそれしか無いから、仕方なしにそれを選んでいると感じる事はありませんか?

私は車の屋根の継ぎ目が気になって仕方ありません。最近の車によく見られるデザインです。ドアの上に左右並行に二本並んでいます。車の側面と天井部分をあの継ぎ目で繋いでいるのです。ボディーを構成する鉄板が薄いのでスポット溶接の研磨が難しいのでしょう。継ぎ目にわざと窪みを持たせその底で溶接して、溶接痕を上からモールで隠しているのです。あれは使う側の嗜好で出来たデザインではありません。
高級車には、あの気になる継ぎ目は見られません。造る側もデザインとしては良くないと感じているのでしょう。しかし、大衆車では殆どの車に見られます。継ぎ目が有ると無いでは、一台当たりの製造コストが僅かにが変るのでしょう。たとえ僅かであっても車は何万台と製造しますので、製造コストが僅かでも下がるのであれば、造る側はそれを選択します。

使う側は仕方なく使っているのです。

それは住宅にも当てはまります。ユニット化された住宅部品の殆どが気に入りません。最近の室内建具は何故安っぽいのでしょう。豪華に見えていますが化粧合板の張りぼてです。一昔前に比べれば大分洗練されたデザインになっていますが、建具のデザインに家を合わさないと落ち着きません。
ユニットバスにしても、キッチンにしても如何にも「工業製品です」と自己主張した様なデザインになっています。もっと温かみのある人のが安らげるデザインがあっても良いのではないでしょうか。最近ビニルクロスが敬遠されて、塗り材を室内の仕上げに用いて欲しいと云うリクエストが増えています。それは機能だけではなく、人の手で仕上げていく変化の面白さに、機械的パターンにない温もりを感じる為ではないでしょうか。

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福味健治

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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