まちの専門家をさがせるWebガイド マイベストプロ香川
谷澤優花

人を敬う心“接遇”を伝えるビジネスマナーのプロ

谷澤優花(たにざわゆうか)

谷澤優花

コラム

医療現場がIT化しても、失ってはならない患者応対のマナー

医療接遇の必要性

2018年8月24日

医療現場がIT化しても、失ってはならないこと

入院すると、看護師の方が各ベッドを巡回し、ベッドサイドでパソコンを開き、カルテの内容を確認しながら、患者さんの容態やバイタルチェックなどの情報をカタカタ入力していく姿も、今や当たり前の時代となりました。電子カルテといった医療現場でのIT化によって、毎日多忙な看護師の皆さんの負担も軽減が図られたと思います。やはり紙ベースと違い、手書きによる指示の読み違えもなくなり、まとまった量の情報を申し送りする際などは、情報の共有もスムーズになったといえます。ですが…ここでもう一度考えて頂きたいことは、看護師の皆さん・医師の方々といった医療者側のメリットだけでなく、患者の方々にとっても、医療現場でのIT化によってメリットになるよう、意識をしていただきたいということです。
IT化によって生まれた少しの時間的余裕を看護師の皆さん自身の心の余裕と、患者さんへの笑顔での応対に使って頂きたいのです。
皆さんは、患者さんのベッドの横で、入力画面とにらめっこだけして次の方のところに移動していませんか?


パソコン操作



患者アンケートの回答で多い、医療者の態度で気になる点とは…


医療・介護の現場において、日々の業務で徹底することは難しいけれど忘れてはならないことの一つに、相手の話を「背中で、きかない」ということがあげられます。患者の皆さんに接する態度の具体的な方法として、フェイスtoフェイス(顔の見えるコミュニケーション)で、話を伺う上での一番の基本として、体の向き・顔の向きがいかに重要であるかということです。病院で実施したアンケート等からの抜粋を拝見すると、「医師の方が、まったく目も合わせず、ずっと電子カルテの情報や検査室から送られてきたデーターしか見ていなかった。冷たかった。」「看護師さんが忙しいのは、分かるけれど、パソコンに入力しながら、決まり文句のように(事務的にといった表現もありました)毎日同じことをどの患者さんにも繰り返し、病室を出て行ってしまう。」「なにかあったら、おっしゃってくださいねー。と丁寧な言葉遣いでは言うけれど…、目は全然違う方向を向いている。私(患者)よりも次にすることに意識がいっているのが、手に取るように分かるので、言いづらい。」
いかがでしょうか?皆様の院内でも、患者の方からこのような声があがっていませんか?

医療現場でAI(人口知能)が台頭する時代はくるのか?

ペッパー君がお出迎えし、お客様とやりとりする店舗や企業の受付も増えています。いつかは、(いえ、近い将来)医療の現場では、AIが患者さんの問診をしたり、回診をしたりといったことが当たり前になるのかもしれません。ですが、一昨年こんな記事を目にする機会がありました。「ロボットは東大に入れるか?プロジェクト」
このプロジェクトで検証した結果、「国語が苦手」ということが研究者の報告で分かったそうです。AIの限界・人間の頭脳との壁は、読解力と相手の気持ちを察することのようです。最近では、各家庭に話しかければ応えてくれるAIも普及しつつあり、生活を豊かにしてくれ、日々の労力を軽減してくれています。
ですが、皆さん自身もご経験があるように、AIに話しかければすべてが理解してくれ、応えてくれるというものではありません。また、返答があれば、「すごいなー」と思う反面、話し方や声掛けの仕方を人間サイドで工夫しないと、認識してくれない場合もあります。
AIから同じ返答が続くと、プログラミングされた音声なんだーと、少しわびしさも感じます。そう、音声データーと、人間の声の違いは、『ぬくもり』です。
確かに医療の現場にAIが進出することにより、業務の負担が減り・医療事故も少なくなるといったメリットもあるでしょう。しかし、病気やケガをした患者は、適切な診断や処置と投薬だけが目的で病院に足を運んでいるのではありません。病気やケガを治すことも大切ですが、なかなか治らない症状やケガを、不安な気持ちを、少しでも和らげてくれる看護師の方の眼差しや微笑み、労わりの言葉も欲しいのです。うまく伝えられない、言葉にできない、患者だからこその気持ちも理解してほしいのです。この部分を忘れてしまっては、いつかはAIに台頭されてしまうことでしょう。医療現場でのコミュニケーションは、患者さんが何を求めているか、その患者さんのご家族がどのような気持ちで支えているか、これらのことも察する力、そして患者さんやご家族の些細なことに気づける力が求められているのです。
まずは、気づくところから…そのためにも、相手の話を「背中で、きかない」。
体も顔も、患者さんやご家族の方にしっかり向けて、アイコンタクトをとることから意識してみましょう。きっとこれらの事を意識したあなたには、AIの音声よりも温かみのある、患者さんからの「いつも、ありがとう!」の感謝の言葉が、返ってくるに違いありません。

この記事を書いたプロ

谷澤優花

谷澤優花(たにざわゆうか)

谷澤優花プロのその他のコンテンツ

Share