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谷澤優花

人を敬う心“接遇”を伝えるビジネスマナーのプロ

谷澤優花(たにざわゆうか)

谷澤優花

コラム

看護師・介護士が意識するべき、親しみやすさと馴れ馴れしさのちがい

医療・介護の現場ですぐに実践できること

2017年7月24日 / 2018年8月24日更新

医療・介護の現場で一番多い、クレームとは・・・

医療接遇研修・介護職員研修のご依頼で訪問し、その院内や施設内に発足した接遇向上委員会のご担当者の方からお話を伺うと、ある共通点が浮かび上がります。
それは、医療従事者や介護士の方々のお声かけや会話が一方的であるという点です。
その為、患者の方や利用者の方の受け止め方は、
「ぶっきらぼうだなー」
「ぞんざいに扱われている」
「なんでこんなに若い人に、上から目線で命令されないといけないのか」
「そこまで親しくないのに、最初から友達感覚の話し方をされる」
といったような内容が多いそうです。
特に、こういった事例も伺いました。
介護士は、利用者の方と、面識があり、もうすでに仲良くなっているのだから、
これくらい大丈夫と思い、入浴の介助の時も
「はい。はい。もう終わるから、我慢できるでしょ。」
と、シャワーの手を忙しなく動かし、手早く入浴介助を終わらせたかった・・・。
しかし、介助を受けている利用者本人は、年齢と共に呼吸を整えるのも一苦労。
シャワーの湯が顔や目にかかる度に、びっくりして手でしずくを払いながら
口に入らないように、慌てて呼吸を停めたり、息苦しさで、大きな呼吸をしたり・・・。

利用者の方にとって身体を清潔にし、気持ちよくなれるはずの入浴が、
その時の対応や介護士の気持ち・意識の違いで、こんなにも苦痛になってしまうのです。

確かに、医療の現場でも・介護の現場でも、その患者一人、その利用者の方一人だけを
担当しているのでは、ありません。日々同じような介助やサポートを、次々とこなしていく必要があります。そして、患者数や利用者数が増えれば、増えるほど、皆さんが担う部分も多く時間に追われ、気持ちの余裕を持つことも、難しいといえるでしょう。
では、どのように接すればいいのでしょうか?

親しみやすさと、馴れ馴れしさは違うということ・・・

ここで起きた事例の何がいけなかったのか?
そしてどのように改善し、対応すればいいのか…?
具体的に考えていきましょう。

今回の事例の問題の本質は、医療従事者・看護師・介護士が、自分の気持ちや判断で
「面識がある・もう親しい間柄」と、思って接することの中には、
患者の方や利用者の方からすると、同じ気持ちや認識ではないということが言えます。
つまり、医療従事者・看護師・介護士が、「親しくなった」と決めるのではなく、
患者の方・利用者の方本人が、『心の距離感』を決めるのです。

どうしても、医療従事者・看護師・介護士の方々の言い分・業務の段取り・行うべきサポートを優先させるがあまり、このことに意識できていない・・・、気づかない方が多いのが現状です。そして、自分なりの言い方・お声かけの仕方にパターンが決まっていて、悪気はないけれど、このように言えばこれまでも相手とのコミュニケーションが上手くいった、これが私なりの親しみをもった接し方だから・・・という、固定観念がそうさせているのも理由といえるでしょう。
しかし、皆さんが重たい思いをして・大変な思いしをして介助やサポートをなさったことを、たった一言やその時の意識の違いで、患者の方や利用者の方から苦情をうたけり、クレームに発展したのでは、これほど報われないことはありません。
その為にも、親しみやすさと、馴れ馴れしさは違うのだ!という認識と、それを改善出来る具体的方法を知ることが大切です。

先輩から学ぶ

傾聴のあいづちは、「うん」ではなく「はい(拝)」

ある病院での接遇研修後の感想文の中に、このような文面がありました。
「私は、今回の研修を受講して、「はっ」とさせられたことがありました。
それは、あるご年配の男性の患者さんに、親しみを込めて、そして共感の気持ちや寄り添う気持ちをもって笑顔で「うん。うん。そうだったんですね。大変でしたね。うん。」と、
あいづちをうつと、その男性の患者さんが、「君、さっきから聞いていたら、「うん。うん。」と!失礼だろ!」と、大きい声で怒鳴られたのです。私は、びっくりして・・・。
でも今回の研修を受講し、自分の中の『親しみやすい接し方』と思っていたことが、実は相手にとっては『馴れ馴れしい態度』に受け止められていたと分かり、その時怒鳴った患者さんの言いたかった事が、理解できました。」という内容の、感想文でした。
皆さんが、何気なく返事をしている「うん」を「はい」に変えるだけで、院内や施設内の印象が変わります。特に初めて接する患者や利用者の方には、この返事やあいづちの意識と、使い分けはとても大切なことと言えます。
「はい。」という返事の仕方について諸説ありますが、私は、この意味合いでの
「はい。(拝)」を、指導しています。
「はい(拝)」の意味には、頭を垂れて敬礼すること。拝むこと。
       ですから、挨拶文の冒頭は、拝啓となるわけです。

「はい(拝)」の意味には、ありがたく受け取ること。
相手から言われた事を、有難く受け止めることも、この短い返事の中に込められています。

「はい(拝)」の意味には、相手に対して敬意を示すということ。
ですから、見せて頂くことを丁寧に敬語で言う際、「拝見する」となるわけです。

つまり「はい(拝)」と返事をしたりあいづちをうつ際には、相手に敬意を払い、おっしゃった事をしっかり受け止め、おじぎをしないまでもこの返事に代えて礼儀を示すといった意味合いがあるのです。

いかがでしょうか?皆さんのお声かけ全てをその場面・場面に応じて、改善することは
難しいですが、まずは返事やあいづちの仕方を変えてみるだけで、印象改善に繋がります。そして、接する方(患者の方・利用者の方)への敬意を払った応対と受け止められるのです。
親しみやすさと馴れ馴れしさは違うということ・・・、改めて、意識し直してみましょう。

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