「ゼロイチ型人材」から会社を守れ 実務をしない自称プロデューサーを見抜く採用・組織防衛策
目次
1、「ウチの社員は、責任感がない」 その原因は、本当に社員だけにあるのでしょうか?
2、責任感のある社員とは、「何でも自分で背負う社員」ではない
8、責任を持った行動をすると「損をする会社」になっていないか?
9、仕事を「指示された作業」から、「自分が成果を生み出す担当領域」へ変える
10、社員に責任感がない会社では、社長自身が判断を奪っていることがある
12、年商1億円から5億円へ進む会社では、「責任を持てる人材」を育てる必要がある
1、「ウチの社員は、責任感がない」 その原因は、本当に社員だけにあるのでしょうか?
経営コンサルティングを通じて中小企業のオーナー経営者の方々とお話をしていると、よく聞く言葉があります。
「ウチの社員には、責任感がない。」
「もっと当事者意識を持って仕事をしてほしい。」
「責任感のある社員を採用するには、どうすればよいですか?」
確かに、仕事に対する姿勢には個人差があります。
責任感が強い人もいれば、そうではない人もいます。
価値観。
これまでの経験。
仕事観。
性格。
なども影響します。
したがって、
「会社が教育すれば、すべての社員を責任感の強い人間へ変えられる」
というほど、人材育成は単純ではありません。
しかし一方で、
仕事上の責任感や当事者意識は、本人の性格だけで決まるものでもありません。
社員が、
何を任されているのか分からない。
どこまで自分で判断してよいのか分からない。
必要な情報を持っていない。
自分で判断すると社長に覆される。
成果を出しても出さなくても評価が変わらない。
という会社で、
「もっと責任感を持て」
と言っても、なかなか責任感は育ちません。
むしろ社員は、
「余計な判断をしない方が安全だ。」
「社長に聞いてから動こう。」
「自分の担当範囲だけやればよい。」
と学習していきます。
社員に責任感を求める前に、社員が「責任を持てる仕事の設計」になっているかを確認する。
これが、経営者が最初に考えるべきことです。
2、責任感のある社員とは、「何でも自分で背負う社員」ではない
責任感という言葉も、整理する必要があります。
責任感の強い社員とは、
何でも残業して対応する。
上司の命令には必ず従う。
どんな仕事でも断らない。
という社員ではありません。
僕が考える責任感とは、
自分に任された目的と役割を理解し、
必要な判断を行い、
問題が起きたときには放置せず、
必要なら助けを求め、
結果について説明し、
次の改善につなげられること。
です。
つまり、
責任感とは「抱え込むこと」ではなく、「自分の担当領域をマネジメントすること」です。
3、ヒトは、カネだけでは責任を負わない
責任ある仕事には、それにふさわしい給与や処遇が必要です。
しかし、
給与を上げれば責任感が生まれる。
役職を付ければ経営者目線になる。
というものでもありません。
例えば、
部長。
執行役員。
取締役。
という肩書きを与えたとしても、
重要な意思決定をすべて社長が行い、
本人には実質的な権限がない。
のであれば、経営人材としての責任感は育ちにくくなります。
反対に、
肩書きだけ与え、
大きな権限を持たせながら、
結果について何も説明を求めない。
という状態も問題です。
役職とは、
偉くなったことを示すためのものではありません。
「何について責任を負い、その責任を果たすために、どこまで判断してよいのか」を明確にするものです。
したがって、
報酬。
役割。
権限。
情報。
評価。
を、一体として考える必要があります。
4、責任感は、「任される経験」の中で育つ
社員に、
「もっと責任感を持ちなさい。」
と何度言っても、それだけで責任感が育つわけではありません。
人材が責任を持てるようになるには、
実際に任され、
考え、
判断し、
結果を確認する
経験が必要です。
例えば営業担当者へ、
「今月1000万円売りなさい。」
とだけ指示しても、責任あるマネジメントとはいえません。
誰をターゲットにするのか。
どの商品を重点的に売るのか。
どこまで値引きを判断できるのか。
広告費をどこまで使えるのか。
どの数字を追うのか。
どの段階で上司へ相談するのか。
を決めたうえで、本人に考えさせます。
そして、
結果が良かった。
結果が悪かった。
だけを見るのではなく、
なぜ、その判断をしたのか。
どの仮説が正しかったのか。
何が間違っていたのか。
次回どう変えるのか。
まで検証します。
責任感は、説教によって育つのではありません。
自分で判断し、その判断の結果から学ぶ経験によって育ちます。
5、責任感ある人材を育てる組織に必要な5つの条件
僕自身、長年にわたりドラッカーをはじめとするマネジメントの考え方を学び、実際の企業経営へ応用してきました。
その経験から、責任感・当事者意識を持つ社員を育てるには、少なくとも次の5つが必要だと考えています。
① 適切な配置
本人の強みと仕事が合っていなければ、どれほど責任感がある人でも成果を出せません。
営業が得意な人。
数字に強い人。
人をまとめるのが得意な人。
細かな業務管理に強い人。
新しいものを考えるのが得意な人。
それぞれ違います。
人材育成の第一歩は、弱点を矯正することより、「どこなら強みを使えるか」を見つけることです。
② 明確な目標
「頑張ってください。」
「もっと主体的に動いてください。」
では、何をすればよいか分かりません。
売上。
粗利益。
納期。
顧客継続率。
生産性。
プロジェクト完成。
人材育成。
など、
本人が何を達成すべきなのかを明確にします。
③ 必要な情報
責任を負わせるなら、判断材料も与えなければなりません。
売上目標を達成してほしい。
しかし原価を教えない。
利益を増やしてほしい。
しかし部門収支を教えない。
顧客を守ってほしい。
しかし契約条件を共有しない。
これでは責任ある判断はできません。
情報を与えず、結果だけ責任を取らせることは、マネジメントではありません。
④ 必要な権限
目標を与えても、
何一つ決められない。
のであれば意味がありません。
例えば、
値引き5%まで判断してよい。
一定金額まで広告費を使ってよい。
担当者の業務配分を変更してよい。
一定額まで仕入を決めてよい。
というように、権限範囲を明確にします。
⑤ 結果に対する評価と振り返り
責任感を持って成果を出した社員と、
問題を放置した社員。
が同じように扱われれば、責任を引き受ける意味がなくなります。
成果。
行動。
判断。
改善。
を評価します。
同時に、
失敗=即マイナス評価
にしてしまうと、誰も新しい判断をしなくなります。
重要なのは、
適切に考えて行動した結果の失敗
と、
必要な行動や報告を怠った結果の失敗
を区別することです。
6、責任と権限は、クルマの両輪である
責任と権限の設計は、人材マネジメントの中心です。
責任だけを負わせて権限を渡さなければ、人は疲弊します。
権限だけを渡して責任を求めなければ、組織統制が弱くなります。
この二つは、クルマの両輪です。
例えば、
「営業責任者なのだから、売上を伸ばしてください。」
と言いながら、
価格は社長しか決められない。
人員配置も社長が決める。
広告予算も社長しか使えない。
営業方針も社長が毎日変更する。
のであれば、営業責任者は実質的には責任者ではありません。
一方、
何でも自分で決めてよい。
しかし結果について説明しなくてよい。
という状態も適切ではありません。
そこで、
何を達成するのか。
どこまで判断できるのか。
どの経営資源を使えるのか。
何を報告するのか。
いつ相談するのか。
何をもって成果と評価するのか。
まで明確にします。
7、権限委譲と「丸投げ」は違う
経営者が、
「これから社員へ任せることにした。」
と言って、
仕事を丸ごと社員へ投げる。
これは権限委譲ではありません。
任せる側にも責任があります。
目的を伝える。
必要な情報を渡す。
判断基準を伝える。
一定の権限を渡す。
途中で確認する。
必要なら支援する。
そして最後に検証する。
ここまでが権限委譲です。
以前のコラムでも触れましたが、僕が部下との関係で大切にしている質問があります。
「君には僕のどんな助けが必要か?」
です。
本人に任せる。
しかし、放置しない。
必要な支援はする。
そのうえで、本人に結果を出してもらう。
これが、人材を育てるうえで重要だと考えています。
8、責任を持った行動をすると「損をする会社」になっていないか?
責任感のある社員が育たない会社には、もう一つ特徴があります。
責任を引き受けた社員ほど、仕事が増える。
という会社です。
例えば、
問題を見つけて報告した社員に、
「じゃあ君が全部やって。」
と任せる。
改善提案した社員に、
追加業務だけ与える。
責任を持って働く人へ仕事が集中する。
しかし給与や評価は変わらない。
こうなると、
社員は学習します。
「余計なことに気づかない方が得だ。」
と。
これでは、当事者意識は育ちません。
責任を引き受けた人が、
評価される。
権限を持てる。
成長機会を得られる。
報酬にも反映される。
という構造を作る必要があります。
9、仕事を「指示された作業」から、「自分が成果を生み出す担当領域」へ変える
責任感の違いは、仕事に対する捉え方にも現れます。
社員が、
「言われたことだけやればよい。」
と考えている場合、
想定外のことが起きれば、
「指示されていません。」
「自分の担当ではありません。」
「上司の判断待ちです。」
となります。
しかし、その社員が、
「この顧客については、自分が責任を持つ。」
「このプロジェクトについては、自分が成果を出す。」
と考えていれば、行動は変わります。
そのためには、
単に作業を渡す
のではなく、
成果を出すための「担当領域」を任せること
が重要です。
10、社員に責任感がない会社では、社長自身が判断を奪っていることがある
中小企業では、社長が会社の中で最も経験があります。
したがって、
社員が何か提案する。
↓
社長がよりよい方法をすぐ教える。
↓
社員は社長の方法に従う。
ということが起こります。
短期的には効率的です。
しかし、これを何年も続けると、
社員は、
「自分で考えるより、社長へ聞いた方が早い。」
と学習します。
そして経営者は、
「うちの社員は、自分で考えない。」
と悩みます。
これは矛盾しています。
社員へ責任感を求めるなら、社員に考える余白と、判断する経験を与えなければなりません。
11、社員の責任感を育てる7つの経営チェック
社員に責任感がないと感じたら、まず次の項目を確認してみてください。
1.社員は、自分が何について責任を持っているか説明できるか
2.社員は、自分の成果目標を理解しているか
3.責任を果たすために必要な情報を持っているか
4.本人が自分で判断できる範囲が明確か
5.問題が起きた際、本人が相談できる仕組みがあるか
6.責任ある行動をした社員が正当に評価されているか
7.社長や上司が、社員の判断を必要以上に奪っていないか
これらのいずれかが欠けていれば、
社員個人の問題だけではなく、
組織設計にも改善余地があります。
12、年商1億円から5億円へ進む会社では、「責任を持てる人材」を育てる必要がある
会社が小さい段階では、
社長がすべて判断する。
社長がすべて責任を持つ。
という経営でも会社は動きます。
しかし、年商1億円、その先の5億円へ進むと、
すべてを社長が判断することには限界がきます。
営業。
採用。
商品開発。
マーケティング。
現場管理。
顧客対応。
を、それぞれの責任者へ任せなければなりません。
つまり、
会社が成長するということは、
社員数が増えること
だけではありません。
「会社の経営責任の一部を担える人材」が増えることです。
社長一人が責任感を持っている会社から、
複数の社員が、それぞれの領域に当事者意識を持つ会社へ変える。
これが、組織成長です。
13、責任感のある社員は「採用する」だけではなく、「育つ組織をつくる」
もちろん、人材採用は重要です。
責任感。
誠実さ。
主体性。
は、採用時にも確認する必要があります。
しかし、
優秀な人材を採用すれば、自動的に責任感のある組織ができる
わけではありません。
どれほど主体性の強い人材でも、
何も決められない。
情報がない。
成果を出しても評価されない。
社長が全部覆す。
という会社に入れば、そのうち判断しなくなります。
逆に、
役割が明確。
必要な情報がある。
一定の権限がある。
失敗から学べる。
成果が評価される。
という会社では、社員が当事者意識を持ちやすくなります。
責任感のある組織とは、「責任感のある人だけを集めた会社」ではありません。
社員が責任を引き受けやすい経営環境を、会社として設計している組織です。
14、社員の責任感・幹部育成・権限委譲を、経営課題として見直したい方へ
「社員が自分で判断してくれない」
「何でも社長に聞いてくる」
「管理職へ昇格させたが、責任ある意思決定をしない」
「社員へ任せたいが、どこまで権限を渡せばよいか分からない」
「社長自身がすべてを判断し続け、組織が成長しない」
「年商1億円から、その先へ進むための幹部を育てたい」
こうした問題は、
社員教育だけでは解決しないことがあります。
人材配置。
役割。
目標。
情報共有。
権限。
評価。
会議体。
幹部育成。
まで含めて、組織全体を見直す必要があります。
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初回120分経営カンファレンス
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