年商3000万円突破のためには、「組織化への壁」の壁を破れ!

松本尚典

松本尚典

テーマ:年商3000万円


1.年商1000万円が、税務の観点から考えた個人事業の限界の壁だ


年商3000万円を目指す場合、もしかしたら、まだ、個人事業の形態で営業されている方も、おられるかもしれません。まず、はじめに、個人事業と会社設立の違いをみてゆくことからはじめたいと思います。

「個人事業主から会社に変更するタイミングというのは、どのあたりが適切でしょうか?」

これはよく、私が個人事業主の方から聞かれる質問です。

まず、税務の観点から考えましょう。

税務的に言いますと、例えば、企業から報酬をえている個人事業主の源泉徴収額は、通常、10.21%ですが、月額の報酬が100万円をこえると、倍額の20.42%にアップするのを、皆さんはご存知ですか?

この20%を超える源泉徴収というのは、外国人が日本で不動産を売却した所得などに課せられる源泉徴収額と同じ率です。外国人が日本の不動産を売却するというのは、これは、居住用ではなく、利殖用の売買と推定されますから、源泉徴収を、相当、多めにとられるという形になっています。

月額の売り上げが100万円をこえてくると、このような外国人と同じに扱われます。

つまり、これが、個人としては、既に限界の領域に達したということだと思ったほうがよいでしょう。そうすると、個人の所得を対象とする所得税で納税していたのでは、不利になってきます。法人税で納税したほうが、税制上、有利になります。

つまり、税務の観点から言えば、年収1000万円を超える前から、もう、個人での事業ではかなり限界に近いということです。従って、月の売上で、100万円を超える前には、個人事業を卒業し、会社を設立して、所得税の世界から法人税の世界に移行したほうがよいということになります。

個人の所得に課税する所得税と、企業の所得に課税する法人税では、完全に後者のほうが、様々な点で有利です。従って、売上が年間1000万円をこえることを睨み、会社組織を設立することが税務上は得策なのです。

税務から考えた組織化の時期というのは、年商1000万円であるというのが、質問に対する答えです。

2.年商3000万円が、経営と組織の観点から考える、個人事業の限界だ


では次に、今度は、経営の世界の観点から、個人事業の限界を考えてみましょう。

例えば、高額な所得をえる個人事業主の典型が、個人開業の、医師業と弁護士業でしょう。

医師の世界は、医療法人で開業するのが当たり前ですが、弁護士事務所は個人事業で開業するのが、寧ろ普通です(最近は、弁護士法人を設立する方が増えていますが、これは、個人事務所の零細な印象を与えると、企業の顧問の仕事がとりにくいという事情があるため、複数の弁護士で、弁護士法人を設立するという経営体を選択するという事情があります)。

弁護士事務所には個人事業で開業するのが多いのは、一昔前まで、弁護士会が、弁護士の倒産の回避という理由で、弁護士が組織の役員に就任することを禁じていた時代の名残ともいえます。

さて、そんな弁護士の先生方と、酒飲み話で、弁護士事務所の経営の内情をお聴きすると、よく次のような話を耳にします、

「独立している弁護士は、売上が年商1000円を超すことは簡単だけど、3000万円を超えるところで、足踏みするんだよね。それを超えられない人が殆どだね。個人事業では、年商3000万円を超えられないんだよね。」


この話は、経営と組織の観点からの、個人事業の限界を最も象徴していると僕は思います。

士業の世界では、税理士業務は、「顧客さえくれば」、比較的手離れのよい業務と言われています。実際、税理士事務所では、申告書類を税理士が作成している事務所は、寧ろ少なく、ほとんどが、資格のない補助者が作成しているのが実情です。税理士試験が、科目別合格制度をとっており、そのために、税理士試験の最終合格までには、相当に長い年月がかかることから、税理士の世界では、科目合格者(特に法人税)を安い賃金で採用して、申告書類を制作させたすいという事情もあります。また、税理士業務が、企業の決算や確定申告が集中する3月と12月に集中し、税理士の先生一人では業務が賄いきれないという事情も関連しています。

また、司法書士事務所でも、不動産登記の立会いは、流石に資格を持っている司法書士さんが行うことが多いようですが、裏側の書類の作成は、殆ど、資格を持っていない補助者が賄っているのが実情です。これも、司法書士試験を受験している受験生や、過去に受験していてあきらめたヒトを使っているケースが多いのです。

一方、弁護士の業務は、法律相談や訴訟業務が多く、補助者に丸投げできる業務が、税理士業務や司法書士業務などに比べ、非常に限られているという実情があります。つまり、弁護士の先生が自分で行わなければならない業務が非常に多いのです。

これが、弁護士という仕事の性格です。

当然、法廷には自分で出ていかなければなりませんので、印鑑だけ書類に押せば、作成から申請まで補助者ができ、あとは電子申請や郵送で送ればよい、という税理士や司法書士の業務とは質が異なります。

つまり、弁護士業務は、非常に「手離れが悪い業務」、「組織化に限界がある業務」です。

そこから、「売上の年商1000円を超すことは簡単だけど、3000万円を超えることが難しい」という話が出てくるのです。

3.年商3000万円を超えて成長するには、従業員のマネジメントと組織化が不可欠


経営的に言いますと、個人事業主が、自分の力を中心に仕事をすると、安定的に超えることができないのが、まさに、「3000万円の壁」なのです。

3000万円を超えるには、従業員に仕事を任せ、一定の組織化を行い、マネジメントする力が重要になってきます。

税理士・司法書士のように、社会的にステイタスが高く、資格の勉強をしている無資格者の労働力を使えるという特殊事情がある、資格士業の場合は、個人事業主でも、従業員は集まります。しかし、通常の個人事業主は、個人で経営をしている場合、従業員の募集は、会社組織と比較しても、圧倒的に非常に難しく、組織化が難しいといえます。

個人事業では、年商1000万円を超えると、税制上、不利になりはじめ、経営的には、3000万円を超えることは、ほぼ無理、というのが、個人事業の限界なのです。





4.「組織化」に発想を切り替えるために、経営者に必要なこと


年商1000万円までの事業規模の場合、部下を使うよりも、自分が一人で仕事をしたほうが、効率もよく、仕事もはかどります。売上1000万円以下の事業では、むしろ、ヒトをやとえば、高い固定費リスクを背負ってしまいます。だから、この領域の場合、むしろ、自分一人で頑張りぬくことのほうが、あっています。

しかし、これでは、次のステージ、つまり、年商1000万年から成長して、3000万円を超えることが難しくなります。

年商3000万円の壁を超えるには、今度は、自分が頑張ればいい、という発想から脱却し、企業としての組織をつくりはじめ、その力で個人の力の限界を超えてゆく発想が必要です。

これが、年商3000万円の壁です。


年商事業形態課題
1000万円まで個人事業主一人事業一人で効率をあげる
3000万円まで部下を動かすよい部下を探す模索
3000万円以上組織化(落下傘方式への移行)PDCAを回す


5.PDCAサイクルから考える組織化


ヒトの力を使い、組織化を図りはじめるうえで、最初にはじめるべきことは、PDCAのサイクルをメンバーで共有することです。

PDCAとは?

  1. P=計画化
  2. D=行動
  3. C=検証
  4. A=実行


ヒトが集まり、効率性を追求するためには、PDCAのサイクルをメンバーで共有し、メンバーの動きを、組織の目標に向けて統合する管理が必要になります。

これを適切に行えないと、ヒトは、バラバラな個人が勝手に活動する、非効率な烏合の衆と化します。

組織とは、単なるヒトの集まりではありません。個人の目標と独立した組織の目標を設定に、メンバーにその目標を共有しながら、その目標の達成を目指して、メンバーのチカラを協働させるものです。

つまり、ヒトを使うには、管理者の経験と、ヒトの心を捉える人間力も求められます。

ヒトは、給料や謝礼を払えば、こちらの思うように動くようなものではありません。仕事に対する動機付けが重要です。

僕も、長年、企業の管理職として経験を積み、かつ失敗も重ねながら学んできました。自分の会社を、複数経営する経営者となり、多くのヒトを使うようになった今でも、ヒトを管理し、その力を発揮させて、組織の目標を達成することの難しさに、日々、向き合っています。

経営コンサルタントとして、多くの経営者の皆さんから、人的管理・組織管理の相談を受け、私自身も自分の経験を踏まえながら、日々、勉強と経験を積み、そのノウハウを磨いています。

このような努力を開始することが、年商3000万円の壁の突破には必要になります。

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