年収のカラクリ ~年商5億円を超えた経営者たちの、自分の年収の決め方の技~
目次
1.年商3000万円の壁とは、社長一人の力から組織の力へ移行する経営上の節目
2.年商3000万円を超えると、社長自身が会社の成長を制約することがある
3.年商3000万円を超えて成長するには、従業員のマネジメントと組織化が不可欠
1.年商3000万円の壁とは、社長一人の力から組織の力へ移行する経営上の節目
会社を成長させていく過程では、売上規模に応じて、経営者が直面する課題が変わっていきます。
私が経営コンサルタントとして中小企業を支援し、自らも企業を経営してきた経験から、一つの重要な節目だと考えているのが、年商3000万円前後です。
もちろん、「年商3000万円」という数字に法律上の企業区分があるわけではありません。
また、利益率やビジネスモデルによって、一人で経営できる売上規模にも大きな差があります。
しかし、多くの事業では、売上が数千万円規模へ成長すると、
自分一人では仕事を処理しきれない。
顧客対応が増え、新規営業に時間を使えない。
社員や外部パートナーへ仕事を任せる必要が出てくる。
経営管理に使う時間が増える。
売上は増えたのに、社長自身は以前より忙しくなる。
といった問題が現れ始めます。
つまり、年商3000万円の壁とは、「売上の壁」というより、「社長一人で成果を出す経営から、組織で成果を出す経営へ移行できるか」という経営上の壁なのです。
2.年商3000万円を超えると、社長自身が会社の成長を制約することがある
事業を立ち上げ、年商数千万円まで成長させた経営者には、多くの場合、強い専門能力があります。
営業ができる。
商品やサービスについて誰よりも詳しい。
顧客の要求にすぐ対応できる。
重要な意思決定を速く行える。
こうした経営者自身の能力が、会社を成長させてきた原動力です。
しかし、会社が成長すると、この成功パターンそのものが、次の成長を妨げることがあります。
社長しか営業できない。
社長しか重要顧客に対応できない。
見積りを社長しか作れない。
社員が何かを決めるたびに社長へ確認する。
社長が休むと重要な仕事が止まる。
この状態では、売上の上限が、社長一人の時間と処理能力によって決まってしまいます。
年商3000万円を超えて、さらに1億円、数億円へ成長していくためには、「社長が仕事をする会社」から、「社長がいなくても仕事が進む会社」へ変えていかなければなりません。
年商3000万円前後は、その転換を考え始める重要なタイミングです。
専門家型ビジネスほど、社長依存の壁が現れやすい
これは、士業、コンサルティング、デザイン、IT、建築、技術サービスなど、経営者本人の専門能力が商品の中心になっている事業ほど顕著です。
経営者自身が商品であるため、売上を増やそうとすると、そのまま経営者の労働時間が増えてしまいます。
しかし、一人の人間が働ける時間には限界があります。
そこで必要になるのが、
仕事を分解する。
標準化できる業務を見つける。
社員や外部パートナーへ任せる。
情報を共有する。
成果を管理する。
という組織化です。
重要なのは、「法人か個人事業か」という形式だけではありません。
事業の実態を、「経営者個人が働いて売上をつくる状態」から、「複数の人材が協働して売上と利益をつくる状態」へ変えていくことです。
3.年商3000万円を超えて成長するには、従業員のマネジメントと組織化が不可欠
年商3000万円の壁を超えるために重要になるのが、経営者自身の仕事を他の人材へ移し、組織として成果を出せる状態をつくることです。
これは、単純に社員を増やせばよい、という意味ではありません。
むしろ、組織づくりに失敗すると、
人件費だけが増える。
社長の管理業務が増える。
社員のミスを社長が修正する。
社長が以前より忙しくなる。
利益率が下がる。
という逆効果が生じます。
ですから、採用より先に考えなければならないことがあります。
「自分は何をするべきなのか」
「社員に何を任せるのか」
「どの仕事を標準化できるのか」
「どの成果を数字で確認するのか」
「どこまで社員に判断を任せるのか」
という役割分担です。
組織化とは、人を増やすことではありません。仕事と責任を分け、複数の人材が共通の目標に向かって成果を出せる仕組みをつくることです。
4.「自分がやった方が早い」から、「人を通じて成果を出す」経営へ
年商3000万円前後まで会社を成長させた経営者にとって、最も難しい変化の一つが、「自分で仕事をすること」を減らすことです。
多くの場合、社員より社長の方が仕事は速いでしょう。
営業もできる。
顧客対応も上手い。
商品のことも詳しい。
判断も速い。
だから、
「自分でやった方が早い」
と考えるのは当然です。
しかし、その方法を続ければ、会社の成長速度は社長一人の処理能力を超えることができません。
年商3000万円の壁を超えるには、「自分が成果を出す」という発想から、「人を通じて成果を出す」という発想への転換が必要です。
最初から社員に100点の仕事を求める必要はありません。
まず、
どこまでなら任せられるか。
どの仕事なら標準化できるか。
どこで社長が確認するか。
どの数字を成果として見るか。
を決めます。
そして、社員や外部パートナーが仕事を行い、経営者が成果を確認し、改善する。
この仕組みを少しずつつくっていきます。
社員を採用する前に、社長自身の仕事を棚卸しする
組織化の第一歩は、求人を出すことではありません。
社長自身が現在行っている仕事を整理することです。
例えば、
営業。
見積り。
顧客対応。
商品・サービス提供。
請求。
入金管理。
広告。
Web更新。
採用。
教育。
経理。
情報管理。
こうした仕事を列挙し、
社長しかできない仕事。
社員へ移せる仕事。
外部委託できる仕事。
仕組み化・自動化できる仕事。
に分けます。
経営者が本来集中すべきなのは、
経営戦略。
重要顧客。
商品開発。
人材採用。
資金。
組織。
新規事業。
といった、会社の未来を決める仕事です。
日常業務だけで一日が終わっているのであれば、会社の売上が伸びても、経営者としての仕事を十分に行えているとは言えません。
| 年商 | 事業形態 | 課題 |
|---|---|---|
| 1000万円まで | 経営者個人の力を中心とした事業 | 商品・営業力を確立する |
| 3000万円まで | 社員・外部人材への業務移管を始める | 任せられる仕事を増やす |
| 3000万円以上 | 組織として成果を出す経営へ移行する | 目標・役割・PDCAを共有する |
この表は、すべての企業に一律に当てはまる基準ではありません。
しかし、会社の成長段階を考える一つの目安として、自社が現在どこにいるのかを考えてみるとよいでしょう。
5.PDCAサイクルを共有することが、組織化の第一歩になる
人の力を活かして組織化を進めるうえで重要なのは、組織として「何を目指し、何を実行し、その結果をどう確認するのか」を共有することです。
そこで基本になる考え方の一つが、PDCAです。
PDCAとは?
- P=Plan 計画する
- D=Do 実行する
- C=Check 結果を検証する
- A=Act 改善する
人が複数集まっただけでは、組織にはなりません。
社長だけが目標を理解し、社員は自分の仕事だけをしている。
社員それぞれが違う優先順位で働いている。
問題が起きたときだけ社長が介入する。
これでは、人数が増えても組織の生産性は上がりません。
組織には、
共通の目標。
明確な役割。
実行計画。
成果を確認する数字。
改善する仕組み。
が必要です。
例えば、営業部門であれば、
売上目標だけを与えるのではなく、
何件の見込み客をつくるのか。
何件商談するのか。
成約率は何%か。
平均単価はいくらか。
どこで失注しているのか。
を定期的に確認します。
こうして、社員の活動を会社の目標につなげていくことが、マネジメントです。
「社員が動かない」のではなく、組織の設計を見直す
経営コンサルティングの現場では、
「社員が自分から動かない」
「任せても期待した成果が出ない」
という相談を受けることがあります。
しかし、詳しく話を聞くと、
何を達成すればよいのか明確でない。
権限が与えられていない。
何でも社長へ確認する仕組みになっている。
成果を評価する基準がない。
仕事を任せた後の確認方法が決まっていない。
というケースも少なくありません。
この状態では、社員個人の能力だけを問題にしても解決しません。
経営者自身が、社員が成果を出せる組織の仕組みをつくる必要があります。
私自身、長年、企業の管理職として組織運営を経験し、その後、自ら複数の会社を経営する中で、人を採用し、育成し、仕事を任せ、組織として成果を出すことの難しさを繰り返し経験してきました。
現在も、2026年3月期・グループ総売上高48億円のURVグローバルグループを経営する中で、組織と人材の問題は、経営者として常に向き合う重要課題です。
だからこそ、私は経営コンサルタントとして、単に「社員を増やしましょう」「組織図をつくりましょう」と助言するのではなく、
現在の経営者の仕事は何か。
何を社員に任せるべきか。
どの成果を管理するのか。
次にどの人材を育てるのか。
どの順番で組織化するのか。
を、経営者と一緒に考え、実行し、その結果を確認することを重視しています。
年商3000万円の壁を突破することは、売上を3000万円以上にすることだけではありません。経営者一人の能力に依存した事業から、組織として成長できる企業へ変わることです。
そして、この組織化ができると、次の成長目標である年商1億円、さらに数億円、年商5億円へ進むための土台ができていきます。
現在、年商3000万円前後で売上の伸びが止まっている。
経営者自身が忙しすぎる。
社員へ仕事を任せられない。
人を採用しても生産性が上がらない。
組織をどのようにつくればよいのか分からない。
このような課題がある場合には、売上施策だけではなく、経営者自身の役割と組織の仕組みを一度整理することをお勧めします。
年商5億円の壁を突破するための経営者伴走コンサルティング
年商3000万円から4億円程度のオーナー社長を対象に、現役オーナーCEOである松本尚典が、経営戦略・組織・マーケティングから海外展開まで、経営判断と実行に継続して伴走します。
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/
初回120分経営カンファレンス
継続的な経営コンサルティングをご検討いただいているオーナー経営者を対象に、契約前の初回カンファレンスを実施しています。
現在の経営課題、今後の成長目標、組織化を含めて優先して取り組むべきテーマを整理し、本コンサルティングが課題解決に適しているかを双方で確認します。
https://direct.mbp-japan.com/menu/detail/936
URVグローバルグループの中小企業経営者 成長経営支援
売上・利益・組織・人材・マーケティング・財務・新規事業など、会社の成長に伴って複雑化する経営課題を、URVグローバルグループの専門機能も活用しながら支援します。
現在、自社の成長を妨げている経営課題がどこにあるのかを確認したい経営者の方はこちらをご覧ください。
https://urv-group.com/services/consulting/sme-support/


