左右半身に症状が多い方に
秋の季節を感じるこの時期、胃腸の調子が悪くなっている方も多いと思います。原因は、水分摂取量と睡眠にあります。水分の取りすぎによって、胃酸が薄まり消化不良を起こしたり、暑さによる睡眠不足で胃の粘膜が薄くなり胃痛が起こりやすくなります。毎年わかってはいてもついつい喉越しのよい冷えたものをグイーと・・・・後の祭です。私が幼少のころ、夏は氷を入れたジュースを、喉を鳴らしながら毎日何杯も飲んでいました。その結果、胃腸が弱い体質が出来上がったのです。夏は下痢しやすく、冬は冷えてお腹が痛くなり、春は緊張して手汗がひどくなり、秋はもの寂しくなります。体質改善には長い歳月がかかりました。使った漢方薬は、建中湯(けんちゅうとう)。今でも疲れたときは頓服で丸剤を服用しています。慢性化した胃腸病の体質改善は時間がかかります。漢方の先哲はその期間を最低で3年と言っています。ですから慢性化させないために少しでも早い改善を考えてみてください。
水分補給は、常温か温かいものを
喉越しのよいものは、必要以上に水分を取りすぎてしまいます。喉もと過ぎれば、同じ水分です。冷えたものの取りすぎは胃腸を冷やし、動きを悪くするだけでなく体力も消費してしまいます。既に弱ってしまった胃腸には朝粥がお勧めです。冬の病気は、秋に作られています。
腹中雷鳴(お腹ゴロゴロ)して下痢する方に、甘草瀉心湯(煎じ薬)
鳩尾を両手で押して、不快感があればよく効きます。主成分の黄連と黄芩は、胃の炎症をとり、乾姜と半夏は胃を温め働きよくし、人参と乾姜は下痢、腹痛に、半夏と大棗は腹中雷鳴に、黄芩と人参は食欲不振を改善します。時の首相吉田茂氏の食傷によるしゃっくりに甘草瀉心湯に橘皮(みかんの皮)を混ぜて治した話は有名です。
腹痛し、手足が重だるく、下痢する方に、真武湯(煎じ薬)
もともと胃腸虚弱の方で夏に弱い方には心強い味方。めまいがあればよく効きます。茯苓と朮で余分な水分を利尿させ、茯苓と生姜でめまいと動悸を治し、朮と芍薬で腹痛と下痢を治します。お漏らしするほどの下痢にもよく使われます。
胃の不快感、胃痛に、自家製安中散(生薬を粉末にして混ぜ合わせたもの)
現在、服用されている方も多いと思います。延胡索が胃の痛みに、縮砂が胃をスーとさせ、芍薬と甘草が胃の痛みを止めていきます。痛み、不快感には大変よく効く漢方薬です。