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取締役会議事録(理事会議事録)への記名押印

2018年6月15日 公開 / 2021年2月9日更新

テーマ:企業法務

コラムカテゴリ:法律関連

取締役会議事録へ記名押印すべき者


 取締役会議事録を作成した場合については、会社法に基づき、出席した取締役及び監査役の全員が、署名し、又は記名押印しなければなりません。

(会社法 第369条3項)
 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

記名押印を義務づける理由


 前段の法務省令とは「会社法施行規則第101条」にあたります。

 本省令に基づき、議事録を作成することになりますが、議事の内容に異議等を述べた取締役、監査役がいる場合には、議事録作成にあたりその旨の記載がなされるべきものです。

 議事録に出席した取締役及び監査役の署名又は記名押印がなされているということは、議事録の内容に異論はないと判断したと結果である推定されますので、議事の内容(会社としての業務執行)についての責任が明確にされるという主旨とされています。
 
(会社法第369条5項)
 取締役会の決議に参加した取締役であって第3項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。

記名押印する者を減らすことは可能か


 定款において記名押印する者を特定するなど、別段に定めをしたとしても無効であり、記名押印者を減らし、限定することは認められません。

 会社法369条3項においては別段の定めをすることが認められていないからです。


記名押印する者を減らすことができる法人


 株式会社とは異なりますが、次の法人においては、類似の理事会議事録につき、定款で別段の定めとして『出席した代表理事(理事長)及び監事』とすることが許容されています。

 法人の性質上、理事、監事の数が多数に及ぶことも想定され、出席理事及び監事全員から記名押印をもらうことに時間を要するといった、実務ニーズに応える政策的なものと思われます。


【一般(公益)社団法人、一般(公益)財団法人】

(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第95条3項)
 理事会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては、当該代表理事)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。


【社会福祉法人】

(社会福祉法第45条の14)
 理事会の議事については、厚生労働省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもつて作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した理事長とする旨の定めがある場合にあつては、当該理事長)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。


【医療法人】

(医療法第46条の7の2) 
 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十一条から第九十八条まで(第九十一条第一項各号及び第九十二条第一項を除く。)の規定は、社団たる医療法人及び財団たる医療法人の理事会について準用する。【以下、省略】


【司法書士 山 添 健 志】
山添健志
プロフィール

この記事を書いたプロ

佐井惠子

家族の問題(成年後見、相続、信託)の専門家

佐井惠子(佐井司法書士法人)

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