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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

地震を考えた場合、マンションと一戸建てではどちらが得か

2018年8月22日

テーマ:【免震住宅・地震対策】

コラムカテゴリ:住宅・建物

震度4までの場合は差はない

震度4程度の地震は、10年に一度程度の頻度で発生します。日本全国規模で見れば三か月に一度くらいの頻度で発生しています。その様な地震で住まいに影響が出ては、たまったものではありません。震度4程度の地震では一戸建てにしてもマンションにしても、法律を守って建てていれば、被害が出る事はまずありません。

震度6まで

現在震度6は6弱と6強に別れます。頻度としては数十年に一度の地震と云われています。大阪北部地震も、震度階が制定されてから初の震度6を記録した地震でした。震度6弱でしたら、木造戸建て住宅に大きな被害が出ます。築年数の古い住宅は、瓦・外壁の落下、柱の傾斜、建具の不具合等、補強・改修工事に多大な費用を有する被害となります。震度6強になりますと、古い木造住宅であれば、倒壊の危険があります。現在の建築基準法は震度6弱を目安にしています。震度6強以上の地震に耐え得る基準にはなっていません。
マンションも同じ法律で造られていますので、震度6強以上の地震では、条件が悪ければ倒壊の可能性があります。ただし、先日の大阪北部地震ではマンションの大きな損傷事例はありませんでした。地震の震動周期と建物の固有震動周期が一致しなかった為に、大きな被害は出なかったのだと思います。振動周期がマンションの様な固い(周期の短い)建物と一致する様な地震波であれば、マンションにも被害が出たかと思います。

震度7の地震

震度7は現在観測されている最大級の地震で、数百年年に一度発生する地震と云われています。しかし全国規模で見れば、昨今10年に一度程度の頻度で発生しています。震度7は、倒壊しなければ運が良かったと云うレベルの災害で、震度7に遭遇すれば、建物の健全性を担保するものは何もありません。

戸建てとマンションを比べてもどちらが安全とは言えない

基本的には、戸建てもマンションも、同じ建築基準法を元に建てられていますので、新しければ、同じ様な損傷具合であると言えます。但し、戸建て住宅には、マンションに見られる様な定期報告制度がありませんので、家のメンテナンスは、各人に任せられています。その事をメンテナンスフリーと考えて、維持保全に何の措置も講じない人が多いので、古い木造住宅は地震に弱いと云う印象を与え、事実、大阪北部地震でも、古い木造住宅に集中して被害が出ました。
個人住宅もマンション並みに、維持管理費を積み立てて、定期点検を怠らなければ、強度を維持する事が出来ます。

どちらが得なのか

震度7の地震を想定した場合、マンションも戸建ても、大規模な修繕を余儀なくされます。その場合、どちらも1000万円規模の費用負担を強いられます。戸建て住宅の場合、建て替えるか補修で済ませるか、個人の判断となります。建て替えも補修も諦め、土地として売却し、別な場所に移り住む事も可能です。
マンションの場合、管理組合が建て替えか補修かを決定しますが、入居者の経済的事情により、意見がまとまらないのが普通です。その為、法廷の場で結論を出す事もあり、阪神大震災の場合では、結論が出るまでに十数年を要する事例もありました。土地として売却するにも敷地全体の(1/住戸数)分の割合で保有している為、(どこが自分の土地であるとは言えない所有方法の為)思い通りに売る事も叶いません。
破壊的な地震が発生した場合は、戸建て住宅の方が、財産をどうするかの選択枝が多い分得なのです。今後30年間に70~80%の割合で、南海地震が発生すると云われています。長期的に財産として住まいを考えるなら戸建て住宅の方が得です。

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福味健治

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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