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松田友和

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松田友和(まつだともかず) / 内科医

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コラム

炭水化物の適切な摂取量が明らかに?!

2020年1月21日

テーマ:生活習慣

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事

以前、当コラムでも炭水化物の摂取量を減らすことで、血糖や体重をコントロールしようとするロカボダイエットのお話をしました。

炭水化物を意識して体重や血糖値をコントロール ロカボダイエットとは?

炭水化物と上手く付き合っていくことは血糖値をコントロールするためには大切です。
その炭水化物を、食事で摂るエネルギー量の50~55%で摂取する場合がもっとも長生きできる、という研究結果が報告されました。

この研究では、15000人以上の米国人を約25年間の追跡調査し、炭水化物の摂取状況と死亡率との関連を調べました。その結果、炭水化物摂取量が全エネルギー中50~55%で摂取している人の50歳時点の余命(あと何年生きられるか)は、低炭水化物の人よりも4年長く、高炭水化物の人よりも1年長いことが明らかになりました。

さらに、この研究では同じ低炭水化物食であっても、炭水化物以外に摂る食事内容の重要性も指摘しています。牛肉や豚肉、チーズなどのいわゆる動物性のたんぱく質や脂肪を多く摂っている人の死亡率は高くなっていること。逆に、野菜や大豆などの植物性のたんぱく質と脂肪を多く摂っている人の死亡率は低くなっていること、を明らかにしています。

タンパク質や脂肪の摂り方(植物性>動物性)の重要性は数多く報告されており、あまり異論はないように思います。短期間の炭水化物制限は、血糖値や体重に対する一定の効果がある一方で、長期の炭化物制限では死亡リスクが上がることが知られていましたが、その要因として、炭水化物以外の食事の摂り方が大切だということが明らかになってきているのではないでしょうか。

糖尿病診療の真の目的は、「血糖値をコントロールすることではなく、患者さんに元気で長生きしてもらうことである」、ということは糖尿病診療に携わるものであれば誰もが知っています。炭水化物制限をすれば、血糖値は下がるわけですが、必ずしも炭水化物制限が元気で長生きにつながるわけではないということもまた事実なようです。

食事、食欲は人生の中でも非常に大きな喜び、楽しみの1つです。世の中には、これさえ食べておけば血糖値が下がる、あの食材は危険だ、などの食事に関する真偽不明の情報があふれています。そんな情報に振り回されずに上手に食事や人生を楽しみながら、元気に長生きをするお手伝いをさせていただきたいと思います。

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