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小中高の教職員様対象に自己肯定感について講演しました

2019年8月4日 公開 / 2021年2月9日更新

テーマ:教育・人権講演会

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

 8月3日(土)は文化パルク城陽で
 京都府南部地域の公立小・中・高校の管理職教職員さま約80名を対象に講演させていただきました。
 (正式名称:京都教育研究会山城北ブロック研修会)




 テーマは
 「自信とやる気を引き出すプラスの問いかけ
       ~自己肯定感を育てる関わり~」。




 最初に「子どもに対するプラスの問いかけ、マイナスの問いかけ」の資料をもとに、
 どういう言葉がけが自信ややる気に繋がるのかをお話ししました。

 
 <子どもに対するプラスの問いかけ>

・ どうしたらいいと思う?
・ どうしたら出来るかな?
・ どうしたい?
・ どうして欲しい?
・ 何か手伝えることある?

 これらの問いかけは子どもの思いや考えを聞こうとするものです。
 このように問いかけられると子どもは、自分は大切にされている、認められている、愛されていると感じます。
 それが子どもとの『あたたかい信頼関係』を築く元となり、その良好な関係を「心の糧」にして子どもは意欲的に物事に取り組むようになるのです。

 そのような関わりは『自己肯定感を育てる関わり』でもあります。

 では次にその『自己肯定感を育てる関わり』の資料を見ながら実際にあった事例をもとに解説していきました。





 1、子どもの味方になる(信頼関係を築く)ではこのような事例をお話ししました。


 その子は宿題もしない、勉強大嫌い、ゲーム大好きな中3の男子でした。
 彼に対して親も先生も「今のままじゃダメだ」と本人を否定するばかりでした。

 教育というのは子どもとの間に信頼関係がなくては成立しません。

 彼には信頼できる大人は一人もいませんでした。
 彼は大人不信になっていました。

 僕が指導において気をつけたのは

 1、彼と彼の話を否定しない。彼の気持ちを理解しようとする。

 2、悪い所ではなく良い所を見る。よい所を誉める。

 3、簡単な問題でわかる楽しさを体験してもらう。

 4、雑談も交え、楽しい雰囲気で勉強する。


 そんな指導を2ヶ月ほど続けていると、
 信頼してくれるようになり、相談もしてくれるようになりました。

 それら1つ1つの悩みや不安に共感し、理解していく。
 そうすると彼も僕には素直になり、
 アドバイスも聞いてくれるようになりました。

 そして僕はよく彼にこう言ってました。

 「君は良い所いっぱいあるで。
  君はすごく素直やろ。素直な子は伸びるよ。絶対伸びる!
  そして海上保安官になりたいという夢があるやろ。
  そんな具体的ではっきりした夢持った君は
  本当に素晴らしいと思うよ。」



  
 そう言うと少し照れながらも、
 先生、俺、がんばるわ、絶対海上保安官になるわ、
 とやる気をみせてくれていました。

 そして見事志望校に合格した彼はこう言いだしたのです。

 「先生、僕ゲーム売るわ。」

 これは彼が自ら決意して言った言葉です。
 (次の日、ゲーム機本体とソフト全てを売って8万円にもなったそうです。
  彼は高校では成績優秀になり、高3で指定校推薦をもらえるまでになりました。
  でもその指定校推薦は断り、現在は海上保安官になるべく試験勉強中です。)

 教育とは子どもを大人の希望通りに仕上げることではありません。
 子どもの中にある善性、意欲、能力を引き出すことが教育です。
 そしてそれを引き出すためには子どもとの間に信頼関係が必要です。

 子どもは自らの力で善くなっていく力、「自己成長力」を持っています。
 そしてその「自己成長力」が発揮されるような関係を子どもとの間に築くこと。
 これは親にとっても先生にとっても一番大切なことであるように思います。


 
 5、弱さや欠点を受け入れる(許し合う)では、フィギアスケートの高橋大輔選手が挫折の後にメダルを取るまでにどんなことがあったのかを紹介した後、ビートルズの「 Let it be 」を聞いてもらいました。「ありのままでいい。あなたはあなたのままでいい。」という言葉がいかに人を救う言葉であるかをお話しした後、最近あったこんな出来事を紹介しました。


 10年以上前にうちで家庭教師をしてくれていて
 今は公立の高校と小学校の先生をしているA君とB君、
 先日、この二人と久しぶりに飲みに行ったんですね。

 A君は小さい頃も大人になってからもいっぱい苦労してきたんですけれども、そういうマイナス要因に負けることなく、それをプラスに変えて前向きに生きてきたような男性で、自己主張もはっきりするし自己肯定感も非常に高いんですね。

 一方、小学校の先生をしているB君はどちらかというと大人し目で、人の話を共感的に聴くことができる協調性に優れた男性。しかし自己肯定感はあまり高くないと言います。どうしても気持ちが前向きになれないことも時々あるようです。

 そんな二人と自己肯定感について話していた時、僕はこうB君に話しかけました。




 「B君、自己肯定感が低いのなら『自分なんかダメだ』と思っている子どもたちの気持ちがわかるんじゃないの?」

 「それはよくわかります。自分もそんなふうに思うことがありますから。」

 「気持ちがわかるなら、その心に寄り添うことも出来るんじゃないの?」

 「はい。どんな言葉をかけてあげたらいいかとか。今はそっとしてあげようとか・・」

 「だったら自己肯定感は低くてもいいよ。
 いくら前向きになろうとしても、どうしてもそうなれない時がある。
 そんな時に励ますんじゃなくて『わかるよ。僕も同じだよ。』とその苦しい気持ちをわかってあげることが、どれだけその人の救いになることか。子どもがそんなふうに苦しんでいる時に『大丈夫やで。先生もおんなじや。』と言うてあげられたらその子を孤独から救えるんちゃうやろか。」

 そう言うと彼の顔がパーっと明るくなりました。 

 
 自己肯定感というのは、何かに成功した時に高まるものではありません。
 自己肯定感というのは、失敗した時や挫折した時に「こんなダメな自分なのに受け入れてもらえる、優しくしてもらえる、愛されている」そう感じた時にこそ高まるものです。

 そしてそういう関わりが出来るのは自分も同じ苦しみを知っているからです。自己肯定感とは自信満々な心のことではなくて「ダメな自分、弱い自分も許し、受け入れる。だからこそ人も許せるし、受け入れられる」そういう自己受容、他者受容の心が根底にあります。


 最後にそれをお伝えして私の講演を終えたいと思います。

 本日は誠にご静聴ありがとうございました。

 講演の終わりにミスチルの「ギフト」の曲にのせてお一人お一人それぞれ違う80種類の詩をプレゼントしました。


 みなさん大変熱心に聞いてくださいました。
 ありがとうございました。
 またみなさんにお会いできる日が来るのを楽しみにしています。
 



        < リンク >

 
 講演会の講演依頼.com|長谷川満 プロフィールページ
 https://www.kouenirai.com/profile/3820

 システムブレーン|長谷川満 プロフィールページ
 https://www.sbrain.co.jp/keyperson/K-7816.htm

 教育講演・人権講演のテーマや内容については
 http://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/64075/

 子どもさんの学習の悩み・家庭教師のご相談は
 http://www.hariat.co.jp/ksg/

 長谷川満の見方が変わる相談室
 http://hasegawa-mitsuru.seesaa.net/article/448895890.html

この記事を書いたプロ

長谷川満

子どもの自信とやる気を引き出す教育のプロ

長谷川満(家庭教師システム学院)

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