飲食業は未経験でも経営できるのか?経営者が知るべき飲食店投資と事業拡大の条件
目次
1、ビジネスには、「簡単そうに見えて」「成功するのが非常に難しいビジネス」がある
3、店舗デザイン・飲食コンサルティング・和牛の輸出の総合力で、世界の富裕層をターゲットにする、高い利益率を誇る飲食事業モデルを実現
1、ビジネスには、「簡単そうに見えて」「成功するのが非常に難しいビジネス」がある
私が20代前半から飲食事業に関わり始めて、30年以上が経ちました。
その間、自ら飲食事業を経営すると同時に、国内外の飲食事業者、生産者、食肉の専門家、料理人など、多くの方々から、成功事例だけではなく、失敗事例も学んできました。
その中で、長年、本格的な参入には慎重であった業態があります。
それが、焼肉業態です。
焼肉店は、外から見ると、比較的シンプルなビジネスに見えます。
「肉を仕入れて、切って、お客様に焼いていただく」
「厨房で複雑な調理をしなくてもよいように見える」
「客単価が高く、利益を確保しやすそうに見える」
そのため、飲食経験が浅い経営者や、異業種から飲食業へ参入する経営者にも、魅力的な業態に見えることがあります。
しかし、実際の焼肉店経営は、それほど単純ではありません。
むしろ、焼肉店は、肉の仕入れ、歩留まり、商品設計、価格設定、保存、カット技術、メニュー構成、客単価、店舗オペレーションを高い水準で組み合わせなければ、利益を安定させにくい業態です。
「よい肉を仕入れれば、お客様は来てくれる」
「高級な和牛を出せば、高い価格でも売れる」
「お客様自身が焼くので、調理技術はそれほど必要ない」
このように考えてしまうところに、焼肉ビジネスの大きな落とし穴があります。
実際には、同じ肉を使っても、カットの方法、厚み、温度管理、味付け、提供順序、焼き方の案内によって、お客様が感じる価値は変わります。
さらに、よい肉を仕入れることと、利益を出すことは、同じではありません。
高い品質の肉を高い価格で仕入れ、それを十分な価格で販売できなければ、当然、利益は残りません。
逆に、仕入原価を下げることだけを優先すれば、商品価値を失い、競合店との差別化ができなくなります。
つまり、焼肉店経営とは、単なる仕入れ業ではありません。
食材の価値を見極め、その食材を顧客が支払いたいと思う価値へ変換し、適正な利益を残すビジネスです。
この考え方は、日本国内の店舗経営だけではありません。
海外で日本の焼肉や和牛を展開する場合には、さらに難易度が高くなります。
和牛を海外へ輸出するためには、国ごとの輸入規制、衛生条件、輸送、温度管理、通関、現地側の許認可などを確認する必要があります。
そして、輸出できれば終わりではありません。
現地の買い手が、どの部位を求めているのか。
その部位を、どの価格で継続的に購入できるのか。
現地飲食店に、その食材を利益に変えられる料理技術とメニュー設計があるのか。
買い手の事業は継続するのか。
売掛金を確実に回収できるのか。
ここまで考えて初めて、和牛の海外販売は事業になります。
海外から、
「日本の和牛を仕入れたい」
という問い合わせが来たからといって、それだけで優良な取引先とは限りません。
開業直後の飲食店。
事業計画が十分に固まっていない事業者。
仕入資金に余力のない事業者。
メニュー価格と仕入原価のバランスを十分に計算していない店舗。
こうした取引先へ高額な和牛を継続的に販売すれば、販売側にも在庫や代金回収のリスクが生じます。
したがって、海外で和牛を売るという仕事も、単なる貿易ではありません。
その和牛を使って、現地の飲食店が継続的に利益を出せるところまで設計する必要があります。
焼肉店経営も、和牛輸出も、外から見る以上に、総合的な経営力を必要とするビジネスなのです。
2、何故、焼肉店の経営が、こんなに難しいのか?
では、なぜ焼肉店の経営は難しいのでしょうか。
私は、大きく三つの理由があると考えています。
第一に、一見すると参入しやすそうに見えること。
第二に、牛肉という食材そのものの仕入れと原価管理が難しいこと。
第三に、利益を出すためには、食材の目利き、カット、保存、メニュー設計、価格設計、店舗運営、ブランド構築を一体で考える必要があることです。
焼肉店の経営を経験したことのない方から見ると、
「よい和牛を買えばよい」
「肉を切って提供すればよい」
「高級な店舗をつくれば、高単価で売れる」
と考えやすいかもしれません。
しかし、実際の収益構造は、それほど単純ではありません。
いい肉を安く仕入れることと、消費者ニーズが一致しない
牛一頭から取れる各部位の量には限りがあります。
そして、消費者が価値を理解しやすく、高い価格でも注文しやすい部位には人気が集中します。
サーロイン、ヒレ、リブロースなど、名称を聞いただけで価値が伝わりやすい部位は、その典型です。
しかし、当然ながら、一頭の牛が、そのような人気部位だけで構成されているわけではありません。
さまざまな部位があります。
その中には、調理やカットを工夫することで非常に美味しく提供できる部位がある一方、その価値を消費者に説明しなければ注文されにくい部位もあります。
ここに、焼肉店経営の重要なポイントがあります。
人気部位だけを必要な量だけ安く仕入れ続けることは、簡単ではありません。
需要の強い部位には、多くの飲食店から注文が集中します。
当然、仕入価格も高くなりやすくなります。
高い仕入価格で人気部位を集め、それを安い価格で提供すれば、店は繁盛して見えても利益が残りません。
一方、価格を上げれば、お客様には、その価格に見合う理由を感じていただく必要があります。
肉そのものの品質だけでは不十分です。
カット。
盛り付け。
料理。
サービス。
店舗空間。
接客。
ブランド。
そこでしか得られない体験。
これらを組み合わせて、初めて高い価格に納得していただけます。
そして、さらに重要なのが、人気部位以外をどう価値化するかという問題です。
料理人が肉の特徴を理解し、部位に合ったカットや調理を行い、商品名、説明、提供方法まで工夫すれば、一般消費者には知られていない部位にも付加価値をつけることができます。
一頭買いや大きなロットで肉を仕入れる場合には、特に、この「部位全体を商品として売り切る能力」が収益性を大きく左右します。
これは、和牛を海外へ輸出する場合でも同じです。
海外の買い手が、サーロインやヒレなど一部の部位だけを大量に欲しいと希望しても、牛一頭から取れる量には限りがあります。
一方で、その他の部位の価値を現地の飲食店が理解し、商品化できなければ、サプライチェーン全体として採算を合わせにくくなります。
したがって、和牛の海外販売では、
「どの部位を輸出するか」
だけではなく、
「その部位を、現地の料理としてどう商品化するか」
まで考える必要があります。
ここに、単なる食品輸出会社と、飲食事業まで理解した海外進出支援会社との違いがあります。
焼肉店の利益は、仕入価格だけで決まるものではありません。
どの商品を、どの顧客に、どのような価値として提供し、いくらで販売するのか。
そして、仕入れた食材全体をどれだけ無駄なく利益へ変えられるのか。
これを設計する能力によって決まります。
つまり、焼肉店は、
「よい肉を仕入れれば成功する」
「肉を安く仕入れれば利益が出る」
「高級感を出せば高単価が取れる」
という単純なビジネスではありません。
仕入れ、部位構成、歩留まり、メニュー、価格、顧客層、店舗デザイン、接客、ブランドを、一つのビジネスモデルとして設計する必要がある業態なのです。
3、店舗デザイン・飲食コンサルティング・和牛の輸出の総合力で、世界の富裕層をターゲットにする、高い利益率を誇る飲食事業モデルを実現
私は現在、この難しい焼肉事業に、国内外で取り組んでいます。
ただし、単に焼肉店を出店する、あるいは和牛を輸出するという考え方ではありません。
焼肉をはじめとする外食事業を成功させるためには、
市場調査。
ターゲット設定。
食材調達。
メニュー開発。
原価設計。
価格設計。
店舗デザイン。
接客サービス。
採用。
社員教育。
マーケティング。
ブランド構築。
資金管理。
これらを一つの事業として組み上げる必要があります。
国内で支援してきた焼肉黒田様でも、単に新しい肉を仕入れるという支援ではありませんでした。
固定費と売上構造を分析し、店舗のポジショニングを見直し、肉の仕入れ、メニュー、料理、サービス、マーケティングを一体として再構築しました。
その結果、客単価と売上を大きく改善することにつながりました。
焼肉店の改革では、肉の仕入れだけを変えても十分ではありません。
顧客、商品、価格、調理、サービス、マーケティングを一体で再設計して、初めて収益構造を変えることができます。
そして、この考え方は、海外へ進出すると、さらに重要になります。
海外飲食進出では、日本国内で成功した店舗を、そのまま海外へ持っていけば成功するわけではありません。
現地市場には、
所得水準。
食文化。
宗教。
商習慣。
競合環境。
不動産事情。
雇用制度。
人材の能力。
許認可。
輸入制度。
消費者が求めるサービス水準。
という、日本とは異なる条件があります。
したがって、最初に行うべきことは、「日本で売れている店を海外へ持っていくこと」ではありません。
日本で成功している理由を分解し、その中の何を現地でも再現し、何を現地市場に合わせて変えるのかを決めることです。
例えば、日本で1万円のコースが売れているからといって、海外でも単純に為替換算した価格で売れるわけではありません。
現地のターゲット顧客が、その価格を何と比較するのか。
日本料理として評価するのか。
高級レストランとして評価するのか。
接待や記念日の店として利用するのか。
現地の競合店と比較して、何に価値を感じるのか。
そこから価格を考える必要があります。
また、日本人料理人を派遣し続けなければ品質を維持できない店舗であれば、店舗数を増やすことは難しくなります。
現地社員を採用し、教育し、日本で設計した料理とサービスを現地で再現できる仕組みが必要です。
さらに、日本食材を使用するのであれば、輸出入、在庫、物流、温度管理、為替変動まで事業計画へ組み込まなければなりません。
この総合設計の実例が、フィリピン・メトロマニラ・マカティで立ち上げを支援した、日本式高級焼肉レストラン「THE BWB Makati」です。
このプロジェクトでは、単に店舗を出店する支援ではなく、事業コンセプト、マーケティング、物件、店舗設計・施工監理、メニュー開発、日本食材の調達、現地人材の採用・教育、厨房教育など、海外飲食事業の立ち上げに必要な実務を横断して進めました。
海外で飲食店を出す場合、失敗の原因は、料理だけにあるとは限りません。
物件選定で失敗する。
家賃負担が重すぎる。
現地法人の準備が遅れる。
店舗工事が予定どおり進まない。
輸入する食材が間に合わない。
採用した社員が開業時点で十分に教育されていない。
価格設定が現地市場と合っていない。
集客の準備が開店に間に合わない。
こうした一つひとつの問題が、開業後の収益に影響します。
だからこそ、海外飲食進出では、料理の専門家だけでも、不動産会社だけでも、貿易会社だけでも、マーケティング会社だけでも十分ではありません。
各分野を一つの事業計画の中で統合し、開業日から逆算して実行するプロジェクトマネジメントが必要になります。
URVグローバルグループの外食グローバル支援プロジェクトは、この考え方を基礎にしています。
海外で飲食店を出したい。
国内で育てた飲食ブランドを海外へ展開したい。
日本の料理や食材を使った事業を、アジアをはじめとする海外市場で立ち上げたい。
海外富裕層を対象とする高付加価値なレストランを開発したい。
現地法人、物件、店舗づくり、食材、採用、教育、マーケティングを、誰が全体として統括するのかわからない。
このような課題を抱えている経営者の方には、海外進出を検討する初期段階から、外食事業全体の収益モデルを設計することをお薦めします。
海外へ店を出すことそのものを、目的にしてはいけません。
重要なのは、
どの国で。
誰を顧客にして。
何を提供し。
どの価格で販売し。
どの食材を使い。
誰が現場を運営し。
どのように利益を残すのか。
ここまで設計して、初めて海外飲食進出は事業になります。
焼肉店経営から学べる最大の教訓も、ここにあります。
よい肉があれば成功するわけではありません。
よい料理人がいれば成功するわけでもありません。
立派な店舗をつくれば成功するわけでもありません。
食材、商品、価格、空間、人材、サービス、マーケティング、物流、資金を、一つの収益モデルとして組み上げること。
これが、国内でも海外でも、飲食事業を継続的に成長させるための基本条件です。
海外飲食進出を「いつか進出したい」という構想で終わらせず、具体的な市場調査、事業計画、現地法人、物件、店舗開発、採用・教育、開業準備へ進めたい経営者の方は、URVグローバルグループの外食グローバル支援プロジェクトをご覧ください。
海外で店舗を開くことではなく、海外で継続的に利益を生み出す飲食事業をつくること。
その視点から、海外進出を設計することが重要です。
URVグローバルグループの外食グローバル支援プロジェクト
https://urv-group.com/services/foodbusiness-sixthsector/global_eo/


