マイベストプロ静岡
谷津吉美

女性の悩みをやさしく包み込む漢方薬のプロ

谷津吉美(やつよしみ) / 薬剤師

有限会社むつごろう薬局

お電話での
お問い合わせ
054-247-6006

コラム

令冷鈴

2019年5月1日 公開 / 2021年3月1日更新

テーマ:秘伝のツボ (東洋の知恵)

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 東洋医学



令和になって初めての新聞ですので、「令」と「和」がつくツボを紹介します。
「令」は「冷」になりますが「清冷淵(せいれいえん)」、手の少陽三焦経のツボです。「和」は「和髎(わりょう)」同じく手の少陽三焦経のツボです。三焦は特定の器官を指すのではなく、横隔膜から上部の機能を上焦、横隔膜から臍までの間の機能を中焦、臍から下部の機能を下焦と言います。それぞれ、心・肺、脾・胃、腎・小腸・大腸・膀胱と関係が深く、三焦は気血津液を全身にめぐらせます。
 「清冷淵」は肘頭の上2寸(指3本上)にあります。皮下組織や筋が薄く、冷たくなりやすい部位です。作用は疏風散寒、通絡止痛です。主治は、頭痛、悪寒戦慄、肩・腕の挙上困難です。寒気がする時は、自然にこのあたりをさする方が多いのではないでしょうか。
 「和髎」の和はおだやかなこと、髎はくぼみのことで、耳介(耳の上の部分)の付け根と鬢髪(もみあげ)の間で、浅側頭動脈の後縁にあります。和は正常の意味もあり、このツボに鍼を刺すと耳・鼻・眼・口の機能回復に役立つそうです。作用は袪風、通絡です。主治は、耳鳴、頭重・頭痛、口のゆがみなどです。口のゆがみには「地倉(ちそう)」「頬車(きょうしゃ)」と組み合わせて使うようです。鈴(ベル)の中にも令が入っているので、ベル麻痺が連想されました。特発性片側性末梢性顔面神経麻痺をベル麻痺と呼びます。電車などで、風に当たったあと、顔面麻痺になる場合があります。東洋医学の病因は、外因(外界の環境からなる病因)・内因(感情が基になる病因)・不内外因の3つに分類されています。風は外因の1つであり、風に当たって病気になった場合、風邪(ふうじゃ)におかされたということです。「和髎」の作用が袪風なので、風に当たったあとの顔面麻痺には特に効果がありそうです。

この記事を書いたプロ

谷津吉美

女性の悩みをやさしく包み込む漢方薬のプロ

谷津吉美(有限会社むつごろう薬局)

Share

関連するコラム

谷津吉美プロのコンテンツ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ静岡
  3. 静岡の医療・病院
  4. 静岡の漢方・薬膳
  5. 谷津吉美
  6. コラム一覧
  7. 令冷鈴

© My Best Pro