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新谷千里

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里(しんがいちさと) / 経営コンサルタント

有限会社サミットリテイリングセンター

コラム

営業利益率が低い中小のスーパーが一番先にやるべきこと! 即効性のある利益改善法

2023年3月16日 公開 / 2023年3月17日更新

テーマ:スーパーの業務改善

コラムカテゴリ:ビジネス

私は20年以上、スーパーマーケットの生産性向上のためのコンサルティングの仕事をしている。
特にここ10年近くは、業務改善にその軸足を置いている。

それは、なぜか・・・?
これまで、コンサルティングで、多くのスーパーマーケットの現場に立ち、売場づくりやオペレーションを観て来た。
その中で、特に中小のスーパーマーケットのその多くが、生産性が低く「このままでは、生き残れない」ということを強く感じるようになったからだ。

商品やサービス、そして人。良いものを持っている会社は多い。
しかし、現場の作業効率が悪く、ムダに時間やお金を浪費してしまっているために、生産効率が悪く、せっかくの強みを最大限にお客に伝えることが出来ていない場合が多いと感じる。

厳しい経営環境に対する一番の対策は、ムダを無くすこと

「なぜ儲からないのか・・・」
それは、生産性が低いからだ。

生産性が低い原因の多くを占めるのが、現場にムダが多いことだ。
また、それに気付いていない経営者も多い。
今の結果は、良くも悪くも今までのプロセス(日々の活動)から生まれているということが言える。
これを真摯に、正しく理解する必要がある。

コスト環境が大きく変わったのであるから、今までのプロセスを見直さなければ、営業利益は、中長期的には確実に低下する方向に向かう。

この厳しい経営環境の中で良い結果を出すためには、良い結果を出すプロセスに作り直すことが必要だ。
そのために、重要になってくるのが、現場のムダを無くしていく行動を取ることである。

大きなコストを掛けずに出来て、利益に直結する手段が、ムダ取りである。

現場から時間とお金を生み出す

特に、業務改善を行っていない会社の場合、在庫、ロス、人員、残業、欠品など、現場には改善できる課題が山ほどあると言える。正に宝の山だ。

在庫が過剰であれば、鮮度劣化、見切り廃棄作業、商品移動、在庫確認、倉庫代など、多くのムダが発生して、お金と人時が消えていく。
これらが改善できれば、粗利益が拡大して、作業のムダが少なくなり管理コストも低下する。そして、人手不足や残業の問題も改善する方向に向かう。

過剰在庫の改善によって、現場の作業は「簡単に楽に」遂行できるようになる。
そして何より、売場の鮮度感が向上し、お客の満足度も高まる。

レイアウトのムダ(不備)も重要である。
バックヤードでは、作業導線を考える必要がある。
特には、主導線と設備の配置に大きなポイントがある。
科学的に作業導線を組んでいなければ、ムダに移動距離が長くなる。
そしてそれは、日々作業者全員に関わることとなり、大きな損出を出し続けることとなる。

また、売場のレイアウトは、科学的に客導線を考える必要がある。
バックヤードとは逆に、主導線を如何に長くできるかと、如何にマグネット(磁石売場)を効果的に配置するかが重要なポイントとなる。

そして、各マグネットでのムダを無くすことが重要である。
幾ら科学的に考えられたレイアウトでも、陳列された商品が回転して粗利益を積み上げることが出来なければ、大きな損出となる。

在庫とレイアウトは、重要な関係であり、その相乗効果で大きな利益を生み出すことが出来る。
商品の回転が悪ければ、即効で売場を修正(変更)するべきだ。
お客からしても、魅力度の低い売場では、「買い物の楽しさ」は体験できない。

そして、人員(作業)のムダだ。
これは、遣っている現場の人達では判断しにくいといえる。
先述したように、在庫はこれに大きく関わることになる。
その他、ムダなルーティン作業(慣習)も意外に現場に存在する事例も多い。
先ずは、公平を期する意味で、同規模の他店と人時売上高を比べてみることだ。チェーンストア協会の資料など、ネットでも調べることが出来る。

※その他の事例や解説は、私の他の記事をご覧いただきたい。
 ⇨「ムダ取りと生産性アップ」 誰もが喜ぶコスト削減の重要ポイン
 ⇨年間276万円のロスを削減! スーパー副店長のリーダーシップ
 ⇨440万円のロス削減で粗利益を簡単にアップさたスーパー  営

スタートとスピードが重要

そして、必要なことは、スピードを持って改善のスタートを切ることだ。
計画ばかり立てていてスタートを切れない。
理解しているのにスタートを切れない。
これは経営ではない。
行動を取れば、いずれにしても結果が変わる。

「商品を一円でも安く顧客に提供する」
「従業員の大切な時間をムダに使わない」

これは、経営者の努めであるし、第一の努力目標だ。
無駄を少なくして、その余った時間とお金を次の成長のために使う。戦略的に使う。

結果的に、そこで働く従業員は、生産性を上げるための知識を習得し、日々の行動へとつなげ血肉化する。
そしてそれは、更なる会社の成長に繋がる。

「価値あるムダ」 紀ノ国屋・増井信社長のことば

私の過去のクライアントに、東京の高級スーパー紀ノ国屋がある。
2009年から2011の春にかけてコンサルティングをさせていただいた。
ちょうど創業100周年の記念の時に重なった。

経営は、創業家からJR東日本に引き継がれたが、創業家最後の1年とJR東日本になった最初の1年をお手伝いするという何とも貴重な経験をさせていただいた。

その当時の増井社長が言われた言葉に、「価値あるムダ」という言葉がある。
もちろん増井社長がおっしゃられた意味は、ムダが良いとか、そういう話ではない。
お客様のために、余裕を持って仕事をすることや、そのために一時的に生産性が下がることは全く問題ない。
そのために、「日々の行動のムダを少なくして、生産性を高める努力をする」必要があると、増井社長は、おっしゃっているのだと、私は勝手な解釈をしている。

価値あるムダ。
これは人生を豊かにすることでもあるし、人(顧客)と人(売り手)との絆を深め、人間関係をより良いものにすることでもあると思う。
そういう意味では価値あるムダ。私は大賛成だ。

また結果として、タイムライフバリュー(顧客生涯価値)を高めることに繋がる。


ムダの削減と、価値あるムダの創出。
どちらも、ほとんどお金は掛からない。

しかし、実行する人としない人。
その差は、確実拡大していくことになる。

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