宅建業者の瑕疵担保期間についての特例を設けた理由
1.宅建業者の営業保証金の供託義務
宅建業法第25条1項は「宅地建物取引業者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。」、2項は「前項の営業保証金の額は、主たる事務所及びその他の事務所ごとに、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して、政令で定める額とする。」と定めている。なお、同法施行令(政令)で定める金額は、主たる事務所につき1000万円である。
2.取引の相手方である債権者の権利(営業保証金の還付請求権)
同法第27条1項は「宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。」と定めている。
3.債権者の被害額が供託金1000万円を超える場合
(営業保証金の不足額の供託)
同法第28条1項は「宅地建物取引業者は、前条第一項の権利を有する者がその権利を実行したため、営業保証金が第25条第2項の政令で定める額に不足することとなつたときは、法務省令・国土交通省令で定める日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。」と定めている。
4.宅建業者が営業保証金の供託の免除を受ける場合は、保証協会が弁済してくれる
同法64条の13第1項は「宅地建物取引業保証協会の社員は、第64条の8第1項の規定により国土交通大臣の指定する弁済業務開始日以後においては、宅地建物取引業者が供託すべき営業保証金を供託することを要しない。」と規定しているが、これは、同保証協会が、宅建業者の債務を保証しているからである。そして、同保証協会が営業保証金の供託をし宅建業者の債権者はその供託金に対する還付請求権を有しているからである(同法同法第64条の3、第64条の7及び第64条の8)