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松田友和(まつだともかず) / 内科医

糖尿病内科まつだクリニック

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コラム

腎臓と糖尿病の関係(1)

2020年8月6日

テーマ:糖尿病

コラムカテゴリ:医療・病院

はじめに

33万人で毎年5000人ずつ増加している。日本における透析患者数です。
糖尿病は腎臓の働きに大きな影響を及ぼします。また腎臓の働きが悪化することで、心臓病や脳卒中などの心血管疾患の発症も促進させてしまいます。生命維持に欠かせない臓器である腎臓について考えてみたいと思います。

腎臓の働き

腎臓は、背中側の腰より少し上あたりに、左右に1つずつある、こぶし大のそら豆のような形をした臓器です。透析の技術が進歩していない頃は、腎臓の働きが尽きることは生命が尽きることを意味していました。また、2000年頃くらいまでは、糖尿病が原因で透析なると5年生存率は50%程度であると言われていました。しかし、最近は透析の医療器具や技術が進歩し、透析患者さんの生命予後は格段に改善しています。つまり、腎臓とは生命維持に直結する非常に重要な臓器なのです。そこで、生命維持における腎臓の働きを紹介したいと思います。

1、体内の不要なものを尿として排出する(尿をつくる)
腎臓の代表的な働きは尿をつくることです。全身を巡っている血液は、腎臓に運ばれてきて、網のような細い血管が集まってできる糸球体に流れ込みます。糸球体を含むネフロンは左右の腎臓にそれぞれ約100万個あり、その1つ1つで尿がつくられています。
糸球体でろ過された血液を原尿といいます。原尿は、細い管で集められ、体内に必要なものは再び吸収され、老廃物や不要物が余分な水分とともに尿として体外に排泄されます。
このように体内の水分量やイオンバランスを調整したり、体に必要なミネラルを体内に取り込んだりする働きがあります。腎臓の働きが低下してくると水分量調節がうまくいかずに、体のむくみを引き起こします。 また、イオンバランスがくずれると、疲労感やめまいなど、体に様々な不調が現れることがあります。さらに腎臓の働きが低下すると、体内に老廃物などがたまることになり、この状態を尿毒症と言います。

2、血圧を調節する
腎臓は、尿中に排出する塩分と水分の量をコントロールすることで、血圧を調整しています。塩分と水分の排出量を増加させると血圧は下がりますし、塩分と水分の排出量を減少させると血圧はあがります。さらに腎臓は血管を収縮させるホルモンの分泌を調節することでも、血圧をコントロールすることができます。
腎臓の働きが低下すると、これらの調節が出来なくなり高血圧になりやすくなります。また、高血圧自体も腎臓の血管にダメージをもたらし、腎臓の働きを悪化させることがあります。

3、骨を強くする
骨の成り立ちには複数の臓器が関わっています。腎臓は、カルシウムを体内に吸収させるために必要な活性型ビタミンDをつくっています。
腎臓の働きが悪くなると活性型ビタミンDが低下し、カルシウムが吸収されなくなり、骨粗鬆症や骨折の要因になります。

4、赤血球をつくる
赤血球はヘモグロビンを含む血液の主要成分です。この赤血球は骨髄の中にある細胞が、腎臓から出るホルモン(エリスロポエチン)の刺激を受けてつくっています。
腎臓の働きが低下してくると、このホルモンが出てこなくなってしまうため、血液が十分につくられず貧血になります。

慢性腎臓病とは

何らかの原因で腎臓が障害されると、上記のような働きが低下してくるとで、様々なリスクが生じてきます。この状態を慢性腎臓病と言います。軽症の方も含めると、実は患者数は1300万以上いると言われています。成人の8人に1人が慢性腎臓病の状態であり、糖尿病(患者数約1000万人)などと並んで、国民病であると言われています。

腎臓と糖尿病の関係(2)に続く

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