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鈴木康介

アイデアやブランドなど知的財産を守り、中国に強い弁理士

鈴木康介(すずきこうすけ) / 弁理士

プロシード国際特許商標事務所

コラム

TPPと知的財産権

2012年9月26日 公開 / 2014年7月31日更新

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 退職 手続き

プロシード国際特許商標事務所の鈴木康介です。

TPPの議論は、通関や規制緩和の文脈や、医療や農業の文脈で議論されることが多いと思います。

しかし、TPPの大きな争点の一つに知的財産に関する条項があります。

先日、「ネットの自由」vs.著作権という本を読みました。

この本では、TPPにおいて、アメリカが要求しているであろう知的財産に関する条項と、その影響について書かれています。

アメリカがTPPで要求しているであろう条項は以下の8つです。

 1。著作権保護期間の大幅延長
 2。非親告罪化
 3。法定賠償金
 4。アクセスガードを含むDRMの単純回避規制
 5。真正品の平行輸入に広範な禁止権
 6。プロバイダー責任条項
 7。商標権の拡張
 8。特許権の拡張

2の非親告罪化が影響が大きいと思います。

アメリカの著作権ではフェアユースの規定がありますが、日本では例外規定が限定列挙されているだけです。

このため、多くの個人、企業が実質的には著作権法違反をしていると思います。

例えば、社内で新聞やセミナーの資料やネット記事をコピーすることは複製権侵害に該当します。
(10年以下の懲役、1000万円以下の罰金などに該当します。)

しかし、現在は権利者が告訴しなければ、警察は調査をしない親告罪です。
このため、暗黙の了解として上記の行為は行われています。

仮に、TPP加入によって、非親告罪の条項が入った場合、上記の行為に対して、権利者が告訴しなくても警察が独自に捜査できることになります。

さらに、会社に不満を持って辞めた退職者が、「元の会社が著作権法違反をしている」と訴える可能性もでてくると思います。

現在のところ、TPPが秘密交渉のため、正式な条文案を見ることができません。

しかし、アメリカでも特別アドバイザーとして600名もの各業界の代表者を入れているのですから、日本も交渉に参加するならば、多様な業界から代表者を入れ、日本の企業実務、実情にあった条項になるように交渉した方が良いと思います。

また、最初から参加ありきではなく、交渉の結果、日本企業や、日本国民にとってデメリットが多い場合には、参加しないという選択肢をとっても良いと思います。

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参考

「ネットの自由」vs.著作権

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