37.社外取締役と独立社外取締役の違い
6 銀行もM&A市場に乗り出す
(1)銀行業務の拡大
銀行業務範囲が拡大した。これは2021年5月、改正銀行法が施行されたことによる。
拡大した業務は、
①自行アプリやITシステムの販売、
②データ分析・マーケティング・広告業務、
③登録型人材派遣、
④幅広いコンサル業務やM&Aのマッチング業務、
⑤地域活性化事業会社(非上場)であれば議決権100%の出資
等である。
以後、銀行の業務の中に、M&Aの媒介(マッチング)やコンサルタント業務が急激に増えてきた。
なお、M&Aの対象になる中小企業の数について調べてみたところ、中小企業庁が2021年4月30日付けで「中小M&A推進計画」を発表した中に、中小企業を対象にしたM&A数は年間3000件から4000件あるとのこと。ただし、潜在的な譲渡対象会社の数は約60万社あるという。まことに膨大な数字である。
このような状況下にあり、地方の非上場会社には後継者難を抱える会社もあるので、地方銀行には地域活性化のため、また、企業の優れた技術や資産を後世に引き継ぐため、積極的にM&Aに関与していくべき使命があると思われる。
このように、銀行はM&Aという魅力ある業務に乗り出し得たが、しかし一方で、新たなニーズに対応できるデジタル人材が必要な時代に入っており、それに対応できないと業績に響くという問題にも逢着することになっている。
すなわち、日本経済新聞2023年9月1日付け「銀行変身 リテール戦線異状あり(上)スマホ起点に会員100万人・・」を読めば、これからの銀行業務は、取引の多くはスマホでなし、店舗は重要なものでなくなる時代に対応できるよう、デジタル人材が必要とされる時代に入ったのである。
それだけではない。実は銀行は、2023年というこの年、極めて難しい時代を迎えたようである。
2023年9月15日付け日本経済新聞記事の見出の見出し「リーマン危機15年、金融に再び火種 高債務・高金利で」からも窺えるが、これからの銀行特に地方銀行は、経営トップの真贋が問われる時代に入った感があるのである。
それだけに、銀行は、必要善であり多彩なシナジー効果を生み、経済の発展に大いに寄与できるM&Aを、業務の中核に据えるべきだと思う。
優良な顧客の層をもち、融資も出資もできる潤沢な資金を持ち、社会を富ますことができるのだから。
それは銀行の使命であるはずだ。
もしM&A業務から逃げる経営トップがいると、物言う株主(アクティビスト)の格好の攻撃対象になるであろう、
法(CGコード)が、物言う株主(アクティビスト)を産み、物言う株主に強い発言力を与えたのは、M&Aの推進に限らず、コーポレートガバナンス革命の大きな狙いの達成のためだからである。
また、逆境の時こそ飛躍の時になることも多いのである。
銀行の奮闘・努力は、地域に住む人の期待大なるものがあるのである。