コラム
定型約款2 意味と効果
2018年8月27日 公開 / 2018年8月28日更新
1意味
「定型約款」とは、定型契約の内容を定めた契約条項です。
2定型約款の効果
これは、定型契約を結ぶ事業者が、一方的に作成した内容の全部を、相手方が同意したという効果が与えられる契約です。
それだけでなく、契約の変更も、相手方の同意は必要なくできるものになります。
3 解説
以下、条文に沿って解説します。
(1)定型約款は、一方当事者が作成するもので、定型契約を結んだ者は、定型約款のすべての条項につき同意したものとみなされます。
参照条文
(定型約款の合意)
第548条の2 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。
(2)ただし、定型約款の変更は、①相手方の一般の利益に適合するとき、又は②変更内容が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、相当性、合理性のあるときに限られます。
参照条文
第548条の2第2項
前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。
(3)定型約款の内容は、事業者がホームページ上にアップするだけで、相手方がそれを理解して契約を結んだことにされます。
参照条文
(定型約款の内容の表示)
第548条の3 定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない。
2 定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは、前条の規定は、適用しない。ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。
(4)定型約款の内容は、インターネットで周知することで、事業者が一方的に変更ができますが、相手方の利益を一方的に害する変更の場合は、変更は無効になります。
参照条文
(定型約款の変更)
第548条の4 定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。
一 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
二 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。
2 定型約款準備者は、前項の規定による定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。
3 第一項第二号の規定による定型約款の変更は、前項の効力発生時期が到来するまでに同項の規定による周知をしなければ、その効力を生じない。
4 第548条の2第2項の規定は、第一項の規定による定型約款の変更については、適用しない。
関連するコラム
- 債権法改正 債務引受① 併存的債務引受 2015-06-04
- 債権法改正 不法行為による債権と人損についての時効の改正点 2015-05-09
- 改正法の下では、特別損害の範囲が変わる 主観から客観へ 2017-06-08
- 債権法改正 大改正。債権の原則的な消滅時効期間は5年になる。短期はなし 2015-05-08
- 債権法改正 話し合い中でも,時効は完成するので,要注意,と援用権者 2015-05-11
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。