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菊池捷男

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菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

コラム

債権法改正 大改正。債権の原則的な消滅時効期間は5年になる。短期はなし 

債権法改正と契約実務

2015年5月8日 / 2015年5月11日更新

本コラムは,本年2月に公表された債権法改正要綱案を前提にしています。
要綱案は,その後,本年3月31日に債権法改正案になって国会に上程され,現在審議中です。
要綱案と改正案では,実質的な違いはありませんが,部分的には,用語や表現が違うところがあります。
いずれ,本コラムは,法律改正がなされた後で,正しい条文を紹介した上で,補足させていただく予定です。
それまでの間,要綱案の説明で,ご容赦ください。

第7 消滅時効
1 債権の消滅時効における原則的な時効期間と起算点
民法第166条
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
(1) 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
(2) 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

コメント
大改正である。
現行法では,債権の消滅時効期間は,債権の請求ができる時(通常は債権が発生した時,ただし,弁済期の定めがある場合はその日時)から10年間とされているが,改正法では,債権の弁済期到来から時効期間が進行を開始するのではなく,それに加えて,「権利を行使することができることを知った時」の2つの要件を満たした時から進行し,10年ではなく,5年間で債権は消滅することになる。通常の場合は,債権の発生を知らないというのは希な例であるので,債権の消滅時効期間は,10年ではなく,5年に短縮されたということである。
この改正法は,民事,商事を問わないので,現行法の商事債権の時効期間に関する商法第522条は削除されることになっている。

2 定期金債権等の消滅時効
民法第168条第1項前段の規律は,
定期金の債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
ア 債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使することができることを知った時から10年間行使しないとき。
イ アに規定する各債権を行使することができる時から20年間行使しないとき。
に改正される。

コメント
特になし

3 職業別の短期消滅時効等の廃止
民法170条から174条までは削除されることになった。
 これにより,①請負債権に時効期間は3年間ではなく5年間になったこと。
➁卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権は2年間ではなく5年間になったこと,
③家賃も2年ではなく5年間になったこと,
④運送賃,旅館、料理店、飲食店の宿泊料、飲食料も1年ではなくすべて5年間になったことである。
⑤ただ,労働債権は,労働基準法115条で「この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。」という規定があるので,賃金は2年間で消滅時効が完成することになる。
しかし,労働基準法115条がそのまま維持されるのかは,今後の問題で,未知数ではあるが,これが時効期間5年間とされるときは,実務上甚大な影響が生ずるであろうと思われる。
これまでの常識が一変することになるので,要注意だ。

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