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遺贈と死因贈与とどう違うの?

2016年3月31日 公開 / 2018年8月9日更新

テーマ:相続(遺言篇)

コラムカテゴリ:法律関連

1 言葉の意味
 遺贈とは,遺言書によって書かれる,一方的な意思表示(「単独行為」といいます。)による,遺産の無償譲渡のことで,死因贈与とは,贈与者と受贈者の合意(「契約」といいます。)により,贈与者の死亡の時に効果が発生する,遺産の無償譲渡のことです。

2 効果の発生時期
 いずれも,遺言者又は贈与者が死亡した時に効果が生じます。

3 具体的な実現方法
 遺贈は,相続人又は遺言執行者が,実現行為(遺言の執行)しますが,死因贈与契約の場合も,相続人又は死因贈与執行者が,執行をします。なお,死因贈与執行者というのは,
死因贈与契約にも遺言の執行に関する規定が準用されるため(民法554条),執行者を定めることが可能ですし,その定めがない場合は,家庭裁判所に申し立てれば裁判所が選任してくれます。

4 方式
遺贈は遺言書に書かれますので,遺言書の方式を守り自筆証書か公正証書でする必要がありますが,死因贈与契約は,書面で書かなければなりませんが,自筆証書遺言とは異なり,自筆である必要はなく,パソコンで作成した契約書に署名押印を行い,当事者で交わすのみで可能です。公正証書でも無論可能です。

参考までに,執行者の事項を加えた死因贈与契約書(案)を作成してみました。


死因贈与契約書

贈与者○○と受贈者○○とは,次のとおり死因贈与契約を締結する。

第1条  贈与者〇〇は、本契約書添付目録記載の財産を受贈者に対し無償で贈与することを約し、受贈者はこれを受諾した。
第2条  前条の贈与は贈与者の死亡を停止条件として効力を生じ、かつ,財産の所有権は本件贈与の効力発生時に受贈者に移転する。

第3条 贈与者○○は下記の者を死因贈与の執行者に指定する。

     住所 
     氏名 
                
贈与者と受贈者とは,この死因贈与契約の成立を証するため本契約書を2通作成し、それぞれ各1通を保管するものとする。

平成  年  月  日

             住所 

             氏名(贈与者)               印


             住所 

             氏名(受贈者)               印

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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