企業経営と危機管理 16 内部通報制度設置規程(案)
帳合取引(ちょうあいとりひき)とは、小売業者の仕入先として特定の卸業者が決定している取引のことをいう。例えば、小売業者A社が、メーカーC社の商品を仕入れたいと思うとき、これを直接C社から仕入れるのではなく、卸商のB社に、C社から仕入れてもらい、A社はB社から仕入れる取引方法である。しかし、商品は、C社から直接A社へ引き渡される。B社は、この取引の中間に介在するが、帳面上のことだけであり、在庫は持たない。
帳合取引では、小売商は、直接メーカーから仕入れるよりも、卸商から仕入れる方が、価格は、卸商のマージン分だけ高くなる。その面のみを見れば、小売商には不利に見えるが、小売商は、卸商の情報収集力を得て、広く商品を知りかつ仕入れることができ、また、卸商の信用により直接メーカーから仕入れることによるリスクが回避できる等のメリットがある。
かくして、帳合取引は、円滑な商取引の1つとして、広く行われているのである。
この帳合取引に似て非なるものが循環取引である。
一方は、広く認知された実体のある商取引であるのに対し、他方は違法な架空取引である。