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菊池捷男

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菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

コラム

企業経営と危機管理 7 循環取引

危機管理

2012年12月1日

平成20年9月東証1部上場のG社に、平成17年3月期から平成20年8月までの間に、総売上額320億円、総営業利益20億円もの、循環取引があったことが発覚した。
循環取引(Round-tripping)とは、粉飾決算につながる架空の取引の1つである。例えば、A社がB社に特定の商品を1億円で売り、1000万円の利益を挙げる。B社はそれをC社に1憶1000万円で売り1000万円の利益を挙げる。以下、順にC社、D社、E社へと商品を転売し、最後にE社からA社に転売して商品を元に戻し、これを繰り返すという架空取引を言う。いうまでもなく、これは、架空の売上高及び利益を計上するためである。関係会社にはダミーの会社も当然利用される。
この循環取引を主導した甲は、G社の子会社G1社のT市の営業所長であった。
甲は、本社にこの循環取引が発覚しないように、種々偽装工作をしていた。
①取引の関係会社には取引額の数%の利益を得させ協力させた。
②関係会社に指示して、見積書、注文書、請求書等通常の商取引同様の証票類を作らせていた。
③1回の取引額を、内部監査の対象にならない1000万円の範囲内に抑えた。
等である。
この件の甲も、他の経済犯罪の犯人同様、この架空取引の他にも、自らへの貸付金という名目で数億円を横領することで、経済的利益を得ていた。
この事件は、G社やその子会社であるG1社が、その気になって調査しておれば、①在庫の移動がないこと、②不況にも拘わらず、数ある営業所のうちT市のみ突出して売上や利益が大きいこと、③特定の業者とのみ、不自然な取引が継続反復していること等から、もっと早く循環取引は把握できたのではないかと思えるが、発見が遅れてしまっている。
発見遅れの原因として、少なくとも、次の3点は指摘できる。
ア 甲にT市の営業所長を20年以上させていたこと
イ 職場離脱制度(強制休暇制度。これにより10日間とか2習慣とかの短期間の休暇を与えこの間に監査をする制度のことで、これは嫌疑の有無とは無関係に全従業員を対象とする制度である。)を導入していなかったこと
ウ 内部通報制度が機能しなかったこと(T市の営業所では、甲の行動に疑問をもった従業員がいたが、G社の内部通報制度を利用すると、甲から後日迫害されると思ったので、内部通報はしなかったということであった)
である。
この循環取引によるG社の連結純利益は70億円も減少し、子会社のG1社は別の子会社に吸収合併されて模様である。
以下は、明日のコラムに

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