オンライン講演「思春期・反抗期の子どもとのつき合い方〜自己肯定感を育てる7つの関わり〜」:枚方市教育委員会主催
僕はいま歯医者さんに通っているのですが、そこの歯科衛生士さんが僕が子育て講演をしていることを知って、こんな質問をされました。
「小学校2年生の娘が習い事をやめたいって言ってるのだけど、どうしたらいいですか?」
「子どもさんがやめたいって言ってるのだったらやめさせてあげたら。」
「いいんですか、やめさせても」
「いいですよ、大丈夫ですよ。無理して通わせなくても。
何もお金出して子ども苦しめることはないですよ。」
「そうですね。そうします。」
習い事や塾を子どもがやめたいからといってやめさせてもいいものかどうか・・
親は悩むところです。
なぜか?
一つは、今まで習わせていたことが無駄になってしまうような気がするから。
もう一つは、何も続かない子になってしまうんじゃないかという心配。
または「やめたい」というのは子どものわがままで、そんなわがままをきいていたら忍耐力のないわがままな子になってしまうんじゃないかという心配。
そういう子どもに甘い親は、親としてダメなんじゃないかという漠然とした思い込み。
他にも色々と理由があるかもしれませんが、
まあ、このことについて少し意見を言うとすると・・
一つ目の無駄になってしまうんじゃないかというのは、これは親の考え方だと思います。
うちの子は男の子も女の子もみんなピアノを習っていましたが、みんな途中でやめました。
ピアノを習っていて役に立ったのは保育士になった次女だけです。
だからといって他の二人にピアノを習わしていたことが無駄になったとは思いませんし、それは別に楽譜が読めるようになったからとか、音楽の成績が良かったからとか、そういうことではありません。
はじめから、ピアノを習わせることにそれほど価値を置いていなかったというのが正直なところです。
子どもが習いたいと言い出したので「じゃあ、習っとくか」みたいな感覚で習わせていただけです。
だから、一番下の男の子が小学校4年生のときに「ピアノ習ってるって女みたいて言われるからやめたい」と言った時には、「じゃあ、やめるか」みたいな感じでやめさせました。
よく小学校4年生くらいから塾に入れた方がいい、という感覚をお持ちのお母様方もおられますが、これは完全な思い込みです。別に小学校の間は塾に行ってなくても学校の授業を聞いていれば普通の子はついていけます。私立中学を受験するなら話は別ですが。
でも、やはり中にはすでに授業についていけてない子もいます。
こういった子は、塾に入れるのではなく家庭教師の方が向いています。
それも経験を積んだ包容力のある優秀な家庭教師がいいでしょう。
というのも、小学校4年生時点でたとえばほとんど60点以下しか取れないとしたなら、これは先生の話を理解する力や文章に書かれてある内容を理解する能力が足りないことが考えられ、こういう子を教えるには豊富な経験と柔軟な対応力が必要だからです。
話を戻しましょう。
だから、別に小学校の間は塾に行っていなくても問題ありません。
「塾をやめたい」のであればやめさせてあげても大丈夫です。
その理由が「もっと遊びたいから」だとしても。
考えたら子どもなんだから当然ですよね。
子どもには「遊ぶ権利」があります。
親であったとしてもそれを奪うことは許されません。
子どもは遊ぶことを通じて色々なことを学びます。
それこそが生きた学習です。
それこそが将来役に立つ力になります。
子どもにとって遊ぶ時間は何よりも大切な時間です。
本当は習い事や塾に通わせるより、子どもが夢中になって好きなことやしたいことを心ゆくまでする方がよっぽど将来の『生きる力』につながると思うのですが・・、
親は自分の希望とか「これは身につけといた方がいいやろう」とかから色々習わせたいんですよね。
ただし、子どもが喜んでやっている習い事はいいんじゃないでしょうか。
たとえば英会話とか。
あれはとっても楽しそうだし。
英語が話せるようにならなくてもいいし、発音が良くならなくてもいい、英語に親しめるだけでいい。
英語って楽しい、って思えるだけでいい。
英語の成績を上げるためでもなく、将来英語を話せるようになるためでもなく、ただ楽しいからという理由で習うのが実は一番力になるように思います。
本当に力がつくのは「好きなことを楽しんでしている」時です。
そして、嫌がっていることを無理矢理続けさせることは、そのことをもっと嫌いにし、親は自分の気持ちなんかちっともわかろうとしてくれないと親に対する信頼をなくさせることにしかならないように思えます。
もちろん親子がよく話し合って、子どもの気持ちも良く聞いて、もう少し続けてみようかという結論になるのならそれはいいでしょう。
あと、習い事を途中でやめたとしても、決して何事も続かない子にはなりませんし、忍耐力のないわがままな子にもなりません。
それは、みなさんが途中でパートの仕事をやめたとしても、それで何事も続かない人だと決めつけられることがおかしいのと同じです。それはその仕事や職場が合わなかったというだけのことです。合わない職場に勤め続けるほどストレスのたまるものはありません。
子どもも同じですね。
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