マイベストプロ大阪

コラム

後見制度支援信託(その2) ☆成年後見vol.9⑭☆

2012年3月1日 公開 / 2021年6月2日更新

テーマ:成年後見と資格制限

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 成年後見 手続き



こんにちは、司法書士佐井惠子です。
前回、預貯金が中心で信託により十分な財産保護が可能な場合に
成年後見制度支援信託の適用が見込まれると言いました。
総資産額は同じであっても、その資産構成によっては、専門職後見人が選任される場合があります。
信託する客体から、対象外となるケースについて、もう少し詳しく説明します。

例えば、ご本人が次のような遺言を書いていたとします。
 私は、私の長男太郎に○○銀行○○支店の定期預金債権(金○○○円)を相続させる。
確かに、これは預貯金です。これを解約して、成年後見制度支援信託することはできます。
でも、それでは、ご本人が長男太郎に残そうとした遺言は取り消されてしまいます。
ですから、遺言の対象となっている預貯金は、信託の対象外としなければなりません。

また、信託銀行は不動産を管理することができないので、
換金して信託することになるのではないかとの質問をいただいたことがあります。
最高裁判所は、これについては、今回きっぱりと対象外であると説明しています。
不動産でも賃貸不動産の場合は、借家人とのトラブルが予想されたり、
管理に法律知識が要求されることが想定されますので、法律職後見人が選任されることとなるでしょう。

生命保険の解約も必要ないし、株式をあわてて売却する必要もないと言っています。
前者は、それによって財産散逸の心配はないこと。
後者は、大きく財産を変更することとなるので、
信託するために株式を売却することは、大変タイミングが難しいためでしょう。

元経営者の保有株式も、とりわけ中小企業の場合、売却も、会社に買い取ってもらうことも難しいでしょう。
また、ご本人の意思を忖度すれば、現金化して信託という選択肢はないでしょう。

既に、ご本人がいくつかの銀行口座に、ペイオフ対策で預金を分散していた場合。
これも、信託の対象から外すこととなります。
ご本人の意思を尊重し、むしろ親族後見人・成年後見制度支援信託の道ではなく、
専門職後見人による管理となるわけです。

成年後見人選任申立を検討されている方のご相談に応じています。
お気軽にご連絡なさって下さい。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

お身内に、判断力に不安の出てきている方。
親族後見人や市民後見人をなさっている方。
成年後見人の申立をしようと思っている方。
佐井司法書士事務所では、ご相談を承っております。
お気軽にご連絡下さい。
ご連絡は、こちらまで(http://www.sai-shihou.jp/inquiry/index.html)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp

この記事を書いたプロ

佐井惠子

家族の問題(成年後見、相続、信託)の専門家

佐井惠子(佐井司法書士法人)

Share

関連するコラム

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ大阪
  3. 大阪の法律関連
  4. 大阪の成年後見・家族信託
  5. 佐井惠子
  6. コラム一覧
  7. 後見制度支援信託(その2) ☆成年後見vol.9⑭☆

© My Best Pro