不動産 宅建業違反に対する行政処分の時効期間
最近の宅建業者のビジネスの方法に問題あり 1「押し買い事件」の頻発
誤解のないように最初にお断りしておくが、宅建業者の大半は、真面目で誠実、高い規範意識をもって職務に精励している人たちである。
しかし、一方で、一般消費者の善良さと法律知識の無さにつけ込んで、暴利を貪るため一般消費者を騙す宅建業者もいる。
その数は、民法が改正され「第三者のための特約付き売買契約」を結ぶことができるようになった以後、急激に増えてきた感がある。
1.「押し買い(訪問購入)事件」(の頻発
2023年(令和5年)7月27日付で、第二東京弁護士会会長名で、「高齢者の不動産押し買い被害解決に向けた法改正等を求める意見書」が公にされた。
ここでいう「押し買い」とは、宅建業者が高齢者の住む自宅に「押しかけて行って」言葉巧みに高齢者の住む自宅を売らせ「宅建業者がその自宅を買う」ことをいう。「訪問購入」とも言われる。
この押し買い行為が問題になるのは、宅建業者が当該不動産の時価を偽り、時価より遙かに低い価格で売らせているからである。
例を挙げると、時価3000万円を超えるマンションを時価2200万円だと偽り、2200万円で売らせることなどがある。
この「押し買い」の被害の数は、相当多いようである。
すなわち、前記第二東京弁護士会会長の意見書が引用した国民生活センターの報告によれば、全国の消費生活センター等への被害相談数だけでも年間600件を超えている現状にあるとのことであるから、この年間600件を超える被害相談は言わば氷山の一角、潜在的な被害者数はその数倍はあるものと思われる。(以下、次号に続く)