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債権譲渡 債権譲渡禁止特約があっても債権譲渡は有効になったことなど

2018年9月4日

テーマ:債権法改正と契約実務

コラムカテゴリ:法律関連

1 債権譲渡は、禁止特約があっても、有効
民法466条2項は、「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」と定め、旧法とは違った規律をしています。

これは、企業において債権譲渡の必要が大きいことから、禁止特約がついていても有効にしたのです。
すなわち、中小企業は、物品を仕入れて転売しても、すぐに代金が回収できるとは限りません。代金回収できた後でないと、次の物品の仕入ができないとなると、円滑な継続した取引はできません。そのような場合に、代金回収前の売掛金債権を、次の仕入資金にできるよう、民法が改正されたのです。

2 債務者が債権の譲受人に債務の履行を拒める場合の要件
 ただし、3項で「 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。」と規定して、債務者が債務の履行を拒否できる道を開いております。

3 しかし、その場合、債権の譲受人は、債務者に対し、債権の譲渡人(元の債権者)に弁済することを求めることができる
民法466条4項は、「前項の規定(筆者注:債務者が履行を拒否できる場合)は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しないと規定し、債務者が債権の譲受人に債務の弁済を拒める場合は、譲受人は、債務者に債権の譲渡人に弁済するよう請求ができますが、債務者が試験の譲受人にも譲渡人にも債権の弁済をしないということは許されず、債務者が債権の譲渡人にも支払を拒む場合は、譲受人に支払うよう請求できることになります。

4 債務者の不安定な立場を供託で救済
 債権譲渡を禁ずる特約を結んでいても、債権譲渡契約は有効だということになると、債務者の地位は不安定にならざるを得ません。
そこで、民法466条の2第1項は「債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる」道を開いています。

5 預金を債権譲渡の目的にした場合の特則
民法466条の5は、預貯金債権について当事者がした譲渡制限の意思表示は、・・・その意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗することができることにしており、預金は別格扱いになっています。

6 譲渡禁止特約が付いていても預貯金債権に対する差押は、常に有効です。

7 将来発生する債権の譲渡も可能です(民法466条の6)

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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