コラム
10 宅地建物取引業者が売主となる場合の手付金・違約金の制限
2015年10月30日 公開 / 2022年8月20日更新
違約金は大きい
だから違約はできないはず
しかし現実にはやむを得ない事情もあり違約する
違約金は,また,便利なもの,
相手方に与えた損害額を計算しないで,違約金の支払だけで
決済されるから
その違約金の定めには,ルールがある
そのルールは以下の如し
(1) 宅建業法の定め
宅地やマンションの分譲は、宅地建物取引業になりますので、宅建業者でないとできませんが,宅建業者が売主になって宅地又は建物の売買契約を結ぶ場合は、宅建業法の適用を受け、手付金は代金の額の10分の2を超えてはならないこと(宅地建物取引業法39条1項),また,契約違反の場合の損害賠償額をあらかじめ決めておくときの金額(これを「損害賠償の予定額」といいます。)や違約金の定めも,売買代金の10分の2を超えてはならない(同法38条1項)ことになっております。
(2) 消費者契約法は適用されない
なお,この代金の10分の2という違約金は,それ自体決して少ない金額ではなく,消費者契約法9条1号でいう,平均的な損害額を超えるものと思われますが,宅建業者が売主になった場合の,上記宅建業法の規定は,消費者契約法の適用を受けないことになっていますので,有効になります。
すなわち,消費者が結ぶ消費者契約に違約金の約束がある場合、「事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える」違約金の約束は「超える部分」について無効になる(消費者契約法9条1号)のですが、マンションの分譲等、宅建業者が売主になってする売買契約は、宅地建物取引業法の適用を受け、この場合は消費者契約法の適用が排除されている(消費者契約法11条2項)からです。
(3) 違約になる前に手付放棄による解除を選択した方がよい場合がある
ですから、宅建業者との間で,不動産の売買契約を結んで買主となった人が、何らかの理由で売買契約を履行できなくなった場合で、手付の額が契約に書かれた違約金の額より少ないときは、違約になる前に、手付を放棄して売買契約を解除する方が有利になります。
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