離婚は冷静に
Q1,認知症になって意思能力をなくした甲が,婚姻した場合,子である乙はそれを争うことができるか?
甲が養子縁組をした場合はどうか?
A1,いずれの場合も,できます。
人事訴訟法14条本文は、「人事に関する訴えの原告又は被告となるべき者が成年被後見人であるときは、その成年後見人は、成年被後見人のために訴え、又は訴えられることができる。」と規定していますので、乙は,甲につき,後見人の選任を申し立て,後見人から婚姻無効や養子縁組無効確認訴訟を起こしてもらうことができます。
Q2,後見人は,被後見人の代理人として,離婚や離縁を求める訴訟を起こすことはできるか?
A2,できません。
最高裁昭和33.7.25判決は、離婚事件で,「およそ心神喪失の常況に在るものは、離婚に関する訴訟能力を有しない、また、離婚のごとき本人の自由なる意思にもとづくことを必須の要件とする一身に専属する身分行為は代理に親しまないものであつて、法定代理人によつて、離婚訴訟を遂行することは人事訴訟法のみとめないところである。」と判示しているからです。