コラム
民法雑学 固定資産税を納めていない場合は,どうなるの?
2014年2月26日 公開 / 2016年3月15日更新
Q 夫が亡くなりました。自宅は残してくれましたが,固定資産税を滞納しています。妻である私には,私固有の預貯金がありますが,相続放棄をしない場合は,どうなりますか?
A
固定資産税が納められていない場合,市町村は,滞納処分をとることができます。
その方法は,国税徴収法に規定する滞納処分の例によっています(地方税法373条7項)。
まず,納税者が納期限までに納付しない場合,市町村の徴税吏員は,納期限後20日以内に納税者に対して督促状を送付し,納めるよう督促します(同法371条)。
それでも納付がない場合,市町村の徴税吏員は財産調査及び捜索を行います。この手続は,滞納者の財産(預貯金・給与・不動産等)を発見するために,官公署・金融機関・勤務先・取引先など,滞納者の財産を占有する第三者等に対し調査を行うものです。また,財産の発見,差押えなどの必要がある場合,滞納者やその関係者の住居を,相手方の意思に関係なく強制的に捜索することができます(国税徴収法141条,142条)。
その後,市町村の徴税吏員は財産調査で発見された滞納者の財産に対する差押えを行います。差押えを行った場合,滞納者やその利害関係者(会社,金融機関,不動産の抵当権者など)に「差押通知書」が送付されます。差押の対象としては,預貯金,給与,生命保険,不動産等があります。実務では,不動産は競売申立をして換価するまで時間がかかるため,まずは預貯金や給与を差し押さえる傾向にあるようです。
また,固定資産税を滞納した場合,延滞金を加算して納付しなければなりません(地方税法369条1項)。延滞金は,納期限後1ヶ月経過日までは年7.3%,その後は年14.6%になります。ただし,納税者が前項の納期限までに納付しなかったことについてやむを得ない事由があると認められる場合には,市町村長が延滞金額を減免することができるとされています(地方税法369条2項)。
あなたが,ご主人の相続につき,相続放棄をしない場合は,滞納者になりますので,上記のような滞納処分を受けることになります。
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