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離婚 自宅購入資金に親からの援助金等が含まれている場合の財産分与対象額

2015年7月16日

テーマ:離婚

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 財産分与

Q 今般離婚することになりました。自宅があるのですが,夫である私の名義になっています。購入資金は3500万円ですが,時価は3000万円に下がっています。購入資金3500万円のうち1000万円は私の親が出してくれたものです。
この自宅についての夫婦共有財産額を教えてください。

A 
3000万円×(3500万円-1000万円)÷3500万円=2142万円(1万円未満切り捨て)になります。

解説
⑴ 財産分与は,①夫婦が婚姻後築いた財産(夫婦共有財産)を特定して,➁財産ごとに評価して,③その合計額に,④財産分与率を乗じて,⑤夫婦それぞれが分与を受ける金額を確定し,⑥その金額に一致するように,⑦個々の財産を夫婦に割り当てていく方法になりますが,これは遺産分割をする方法と同じ方法になります。

⑵ 不動産を購入したが,その資金の中に,夫婦共有の財産以外の財産(婚姻前から持っていた財産=特有財産や,親からの援助金)が含まれている場合は,
 離婚時の不動産の評価額×購入時の夫婦共有財産からの支出金額÷購入代金額の計算式で算出された金額になります。

大阪高裁平成19年1月23日判決は,
 ア 自宅マンションは5020万円で購入(離婚時の評価額は3785万円),
 イ 購入資金のうち1681万円は夫の特有財産を充てた
 ケースで,
3785万円×{(5020万円-1681万円)÷5020万円}=2517万円(1万円未満切捨)」
が,自宅マンションの夫婦共有財産分と判示しました。

東京家裁平成20年5月12日判決は,
夫名義で購入した土地の購入時の代金は1500万円(離婚時の評価額は1630万円)で,そのうち700万円は婚姻後の夫婦共有財産から支出し,800万円は夫の母親が出したケースで,
夫婦共有財産は,
1630万円×700万円÷1500万円=760万円(1万円未満切捨て)。
になると判示しました。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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