コラム
企業経営と危機管理 4 秘密情報は私物パソコンから漏洩せり
2012年11月28日
平成19年1月、海上自衛隊第1護衛隊群(神奈川県横須賀市)の2等海曹 がイージス艦の構造図面などの秘密情報を持ち出した事件が発覚した。この事件は、刑事事件になり2等海曹に有罪判決が言い渡された他、下記のようなあまりに杜撰な情報管理から、懲戒免職処分を受けた者が同人を含め3名、休職処分を受けた者が17名も出す事態に発展した。
当時、防衛省が取り扱っていた秘密情報には「省秘」と呼ばれる、隊員が職務上知ることが出来た秘密(自衛隊法59条)と「特別防衛秘密」と呼ばれる、①日米相互防衛援助協定等に伴いアメリカ合衆国政府から供与された装備品等についての、構造・性能・製作・保管・修理に関する技術・使用方法・品目・数量及び②同協定等に基きアメリカ合衆国政府から供与された、装備品等に関する情報(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法1条)があったが、この2等海曹が持ち出した情報は、特別防衛秘密の方であった。防衛省内では、これらの情報管理のため、Need To Knowの原則(情報は知る必要がある者のみに伝え、知る必要のない者には伝えないという原則)を厳守し、知る必要のない者には、情報は一切伝わらない仕組みができていた。
しかしながら、この仕組みは、現場では、簡単に壊され、有名無実になっていた。その原因の1つに、私物のパソコンが職場に持ち込まれ、隊員同士が、ファイルの相互交換をしていたからである。
厳重な管理規則に、ルーズな運用、秘密情報の漏洩の陥穽がここにあったのである。
関連するコラム
- 企業経営と危機管理 7 循環取引 2012-12-01
- 企業経営と危機管理 11 帳合取引は循環取引とは違う 2012-12-05
- 企業経営と危機管理 17 労働環境調査委員会設置規程(案) 2013-02-18
- 企業経営と危機管理 10 職場離脱制度(強制休暇制度) 2012-12-04
- 企業経営と危機管理 16 内部通報制度設置規程(案) 2013-02-17
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。