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いったいこの家、どこが寒いのか?

2015年1月24日

テーマ:断熱改修・耐震改修の手順

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 畳 掃除畳 張り替え

目でその様子が分る(サーモグラフィーの活用)

「あぁ、サーモグラフィー欲しい・・・」現場でよく思っていました。
私たち断熱技術者にとってはかなり役立つものなのですが、いかんせん高額です!
20~30万円もするので仲間内で使いまわしたり、レンタルしたり・・・(T_T)
撮影した画像の保存もPCに接続しなければならず大変わずらわしいものでした。
FLIR ONE
しかし昨年、画期的商品がFLIR社(米国)から発売され、早速並行輸入し手に入れました。
”スマホに装着型”です。iphon5用ですが、これを機に、ついに私もスマホに乗り換えました(ほんとに笑)

室内外を問わずいろんなところを調査すると、その家の断熱の弱点やどのくらいの温度差が分布しているのか視覚的に分りやすく、正直おもしろい( ^)o(^ )
また住宅街を撮影すると断熱が良く効いている家(=つまり冬暖かい家)とそうでない家が一目瞭然!
かなり危険なシロモノです。

和室
ごく一般的な和室です。特に古いわけでもなく、断熱の弱点がそこにあろうとは誰にも分らないのですが、
”畳の床あたりからスースー冷たい風がでてるし、全然部屋が温まらない”
そんな時にこのスマホ装着型サーモグラフィーがあるとイッパツです!

床框部
床の間の段差付近から冷たい冷気が出ているのがわかります。
ここは「床框(とこがまち)」といって段差がある部分で、断熱不良がかなり起こりやすい場所です。
これを直すには床下に潜って断熱材を押し込んでも大抵の場合はダメで、いったんこの床の間の床を剥がさなくては抜本的解決になりません。
床の間をバラス、というのは金額的にも縁起的にもマズイ、ということでかなり抵抗がありますよね。
外気温は0℃、室内の温度計は20℃ですが、ここは12℃と8℃も温度差があります。

中間間仕切り壁
高さ的に中間の箇所。暖房のおかげで20℃程度にはなっていますが、コンセントがある箇所がやはり断熱不良。
床下からの冷気の出口をとなっていることが分ります。
またこの壁がブルーなのもNG。床下からの冷気が壁の中全体を駆け上がっている証拠です。

天井付近
天井付近は24℃。この部屋の上下で12℃もの温度差があることが判明しました。
これでは快適な空間には絶対になりません。
この部屋で机に座っていたならば、足元がスースー寒く、頭はすこしのぼせ気味になるはずです。

どんな断熱工法であっても、基本に忠実できちんと断熱・気密されているならば、こんなに大きな温度ムラは起きません。
サーモグラフィーでは、”こんなにレインボー”、にはならないはずです。

高断熱の家(私の自宅)を測定した記事を自社HPにて紹介しておりますので、あわせてご覧いただけるとおもしろいです。
Rebornホームページ・ブログ
こういうのが面白い、と思うこと自体おかしい、とよく言われるのですが・・・。

この記事を書いたプロ

塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(株式会社Reborn)

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