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断熱リフォームするなら、長期優良住宅化リフォーム推進事業にあやかりたい

2019年1月13日 公開 / 2019年1月14日更新

テーマ:断熱改修・耐震改修の手順

コラムカテゴリ:住宅・建物

平成30年度も国交省による長期優良住宅化リフォーム推進事業の公募がありました。
既存の住宅を、耐震、断熱(省エネ)、劣化している部分の修理を行い、長期優良住宅という国が定めた基準を上回るリフォームを行います。

私は今年度2棟の設計と申請業務、そして施工を一括して担当いたしました。


1棟は長野市内の築36年の住宅。かつて親が建てた一戸建て木造住宅を、子世帯=夫婦+子供2名が快適に住まうために行うリフォームです。
計画当初、いっそ解体して建替えたほうがいいのか?、別に敷地を買い求めて普通に新築住宅を建てるのかor建売住宅を購入、いっそ現状のままで何もアクションを起こさないほうがいいのか、インスペクション(既存住宅現況検査)を通して様々な角度から方向性を検討いたしました。



もう1棟は軽井沢の別荘です。ダメ元で申請窓口に問い合わせたところ、特に専用住宅でなければならないという縛りはなく、住民票を移動することも必要なく、「へぇ~別荘でも補助金が出るんだ~」、すんなり交付申請は通りました。

この補助事業、日本中にある既存の住宅を、良質な資産価値のある建物として残し、俗にいう「ストック社会」を形成してゆこうではないかという主旨で、国の税金によって運営と補助金が賄われています。
補助率は耐震・省エネ・劣化対策など基本性能を向上させる工事費に対して1/3が限度。限度額は250万円で、3世代住宅化リフォームは50万加算の300万です。

見積金額が1200万円の場合、1/3=400万ですが、上限は250万円(3世代対応リフォームの300万円)です。そうなると結果的に1000万円を切ることになり、かなり質の高いリフォームが出来そうです。
またこれくらいの額になると、銀行からの融資もリフォームローンではなく、住宅ローンが扱えることが多く、年末ローン残高の1%が所得税から控除される住宅ローン減税も利用できるのです。加えて工事後の1年間は固定資産税が半分に減額、あるいは工事費の10%相当額が所得税から控除されるのもうれしい。

注意点は補助金が還付されるのは工事が終わってから3~6か月もかかるということ。補助金あるある話ではありますが、いったんは工事店に支払いを済ませ、忘れたころに振り込まれます。(ワスレッコナイカ?)

これでもか、ってくらいにメリットがありすぎる印象もありますが、少子高齢化による内需の問題(新築物件の現象や、人口は減っているのに世帯数が増えていることによる増エネ)、中古住宅や既存住宅の質の悪さが資産価値を下げ、度重なる天災によって仮設住宅など国費の負担も重く、国全体の問題になっているということの裏返しなのでしょう。

申請自体が非常に煩雑なイメージがあるためか、私たち建築士はどうもこの補助金利用を避ける傾向にあるようです。

インスペクション→耐震診断→断熱性能診断→計画→見積り→建築請負契約→交付申請→工事実施→実績報告

というのが大まかな流れです。
膨大な作業量といえばそうですが、社会的にみても良質な住宅の供給と維持管理について、建築士の責任は重大になってきています。
私は市が派遣する耐震診断士としての活動や、震度5を超えるような巨大地震の際は応急危険度判定士としても被災地に赴かねばならない役割も担っています。


完成1
今年度2棟目となった長期優良住宅化リフォームを行った軽井沢の現場の完成見学会を開催する運びとなりました。
ご興味のある方はぜひ足を運んでいただきたいと思います。





2019年2月9(土)、10(日)の二日間 
両日10:00~17:00
詳しくはメイスンリヒーターと愉しむ、軽井沢の冬。マイベストプロ信州セミナー・イベントコーナー、または株式会社RebornホームページRebornのホームページをご覧ください^^

この記事を書いたプロ

塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(株式会社Reborn)

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