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コラム

失敗したくないリフォーム!~浴室編

2015年3月19日

テーマ:断熱改修・耐震改修の手順

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 浴室 リフォーム

春雨。
あさってはお彼岸ですね。
今日は、遠く札幌から、木製サッシの輸入商社さんがわざわざ訪ねてきてくださいました。
「長野県も結構寒いですね」
「これでもここ数日でずいぶん暖かくなったんですよ」

北海道のなんとか地方と、ここ信州の気候風土が似ているところがある、というような話や、最近の窓の性能や価格、今後住宅の窓はどうあるべきか、などの意見交換をしました。

断熱性能がズバ抜けてよかったヨーロッパの木製トリプルガラス。
そして最近どんどん性能が向上している樹脂サッシや国産の木製サッシ。

北海道のおうちは暖かい、
そんな風にささやかれて早20年くらい経つでしょうか。
早く、「長野県はどの家も必ず暖かいね」
そんな風になってゆきたいものですね。

来月の4月1日から、長野県は全国に先駆けて、
”小規模の新築住宅であってもその省エネルギー性能や消費エネルギーについて明確に検討”し、
さらに”自然エネルギーの導入を検討することを義務化”します。

窓も断熱性能も、ようやく本格的なシミュレーションのもと、建てる人・住む人が選択する時代がやってきました。
ようやくです。

ところで、失敗するリフォームとは。

先日こんな相談がありました。
「お風呂をリフォームして、新しい一流メーカーのユニットバスにかえた。これまですごく寒いお風呂だったから、劇的に暖かくなって、冬でも気持ち良く、のんびりお風呂に入れると思っていたのに・・・(T_T) 
100万円以上もするユニットバスで、取り換えるわけにもいかないので!」

「浴槽のお湯はすぐに冷めちゃうし、天井や壁に水滴がたくさんくっついて、換気扇を回しても解決しない。ショールームで断熱オプションをつけたはずなんですが・・・」

「ユニットバスの組立て工事をした業者さんに聞いたら、『ユニットバスの外側には断熱材が特にないので、ただ単に結露してるんじゃないでしょうか』って言われたんですけど、ふつうこっちが黙っていても断熱ってするべきことなんじゃないでしょうか?」

肝心なのはユニットバスが断熱的に室内環境に設置されているか


風呂解体
旧来のお風呂はタイル貼りのつくりが多く、その向こう側はブロックやコンクリートの壁でできていることがよくあります。
ブロックやコンクリートは重いので蓄熱容量が大きいといえます。温まりにくく冷めにくい、とも言えますが、冷えやすく温まりにくい、といった方がこの場合いいかもしれません。

必然、こうしたお風呂の場合、外気や床下の空気は冷たいので、タイルの床はとても冷たい・・・(>_<)
熱湯を床にまいてからでないと立っていられない、入る前に十分暖房してから、ということになります。

また、単にタイルを解体・斫(はつ)り、断熱をせずにそこにユニットバスを設置する、ということは、
トンネルの中にポンとお風呂小屋を置くようなものであり、
断熱パックのオプションをつけたといっても、その断熱材は発泡ウレタンや発泡スチロールが2~3cmついているだけであり、”まったく効果がない”とはいいませんが、残念ながらそれだけでは暖かいお風呂にはなりえません。

裸足に靴下をはいた状態、とでもいいましょうか、やっぱり寒空の下は防寒靴を履いて外に出かけるべきでしょう。
風呂断熱
ユニットバスは、このように断熱材で囲われた空間、つまり熱的室内にポンと置くようにしましょう。こうした環境下でこそ、先ほどの断熱パックオプションが生きてくるのであり、寒くないお風呂に近づくことになることでしょう。
シロアリ被害
お風呂を解体すると、このように土台が腐っている場合がままあります。
私の経験値だと、ほとんどのお宅がシロアリや腐れの被害に少なからずあっています。
土台の交換は容易ではありませんんが、こういう機会でしか修繕できません。

ユニットバスの設置予定日は数日後に迫っています。
お客様もお風呂に入れなくて、工事が終わる日をいつも気にしています。
工事を終わらせなくてはいけない期日も決まっています。
こんなときあなたが現場監督だったらどうしますか?
資金繰りに困っている社長さんだったらどうしますか?

自分たちの都合が第一優先の会社にこの工事を依頼していたら、間違いなくスルーされてしまうことでしょう。

「特に言われてませんので、断熱材も特に見積書に計上されていないんだから当然やりませんし、壁や天井に結露がおびただしく発生ても、そんなものでしょ、お風呂って」

そんな風に説明を受けるのがセキノヤマです。
悲しいことです。


ユニットバス
寒いのか暖かいのか、パッと見は絶対にわからないユニットバス入れ替えリフォーム。
絶対に失敗したくなければ次をポイントに計画してください。

①浴室の天井が2階の床裏ならよいが屋根裏になっていないか?
  (屋根裏なら天井に断熱材+防湿シートを施工しましょう)

②ユニットバスを設置する土間コンクリートの床や、基礎の立上り部分に断熱施工をする仕様となっているか
 
③土台など構造材にシロアリ被害や腐れなどの問題が発生した場合の対処方法が明確か?
 (連絡体制をどうとるか?工期や資金にゆとりを)

④ユニットバス浴槽の裏の断熱材は必須。壁や天井の外側を断熱材で囲う「断熱パック」というような名称のオプションは、原則つけるべき(各メーカーで呼び名は異なります)

⑤窓の大きさをできるだけ小さくした方がよい。既存サッシを生かすのではなく、原則ペアガラス以上の性能を持った樹脂サッシに取り換えましょう

⑥脱衣室にはぜひ暖房器具を配置しましょう。断熱材があるからと言って、断熱材は熱を発生しません。熱を逃げにくくする、という作用にしか働きません。室内で唯一裸になるところですから、絶対に暖房がなければならない場所なのです。

寒いユニットバスの床
なんんだかうちのお風呂(ユニットバス)は寒い、そんな方はこんな風になっているはずです(T_T)

この記事を書いたプロ

塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(株式会社Reborn)

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