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新谷千里

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里(しんがいちさと) / 経営コンサルタント

有限会社サミットリテイリングセンター

コラム

大幅なコストアップと利益の低下  生産性をアップさせて、もっと「儲かる店」にする方法は幾らでもある!

2022年12月16日 公開 / 2023年2月6日更新

テーマ:スーパーの業務改善

コラムカテゴリ:ビジネス

ここへ来て、生産性という用語を耳にすることが、大変多くなってきた。

言うまでもなく、スーパーマーケットという業態が儲からなくなってきている。
コストが上がり、仕入れ原価が上がり、人件費が上がり・・・。
売上は伸びにくく、粗利益率は低下する方向に向かう。

その解決策をひとことで言うと、生産性を上げることだ。
店舗も本部も、会社全体としての生産性を上げる必要がある。

ただ、ここまで厳しい経営環境になっても、そのことに対して無頓着とは言わないが、無計画で、小手先の戦術を繰り返すだけのところも少なくない。
それでは経営者としては、失格だと思う。

また、生産性を高めることを挙げながらも、改善活動をやっているつもりが、実際これといった成果を出せない、焼け石に水状態の場合も少なくない。

スーパーマーケットにとって、「生産性を上げる」ということは、急務であり重要課題である。
そして、生産性が将来の経営を左右すると言えるし、事実だ。

生産性を上げるということ

生産性を高めるためには、まず、「生産性とは何か」ということを正しく理解する必要がある。
決してケチケチ経営でもないし、やみくもにコストを下げることでもないし、従業員を扱き使うことでもない。

そして何より、お客様の満足がそのゴールであること。そして従業員の満足が、ゴールとして存在することが重要だ。

効率を上げて、お客のサービスレベルを低下させては全く意味がない。
従業員が、安い賃金で長時間働くということも決してあってはならない。

これから先、生産性を考える意味では、全く逆のことを考えないといけないし、そのためには、「正しく学ぶ」という行動をとる必要がある。

業務改善を正しく理解していなくても、とにかく何かスタートを切る。それは大変重要なことだと思う。
しかし、生産性を上げるという以上、考え方や仕組みを正しく理解し、その活動をできるだけ無駄なく進めていきたい。
そのためには、体系的にも正しく理解する必要がある。

生産性向上のための業務改善の正しい方向性

また、大切なことは、例えばデータだけを見て、その問題点と課題を設定するだけではなく、必ず現場に出ることだ。

現場に問題が有り、それを解決することによって大きな利益を生むことが出来る。
売場作りや店内作業、在庫管理など、現場で起こっている事実に対して、その確認と課題設定力がなければいけない。物流やPOSなどの仕組み(システム)も同様である。

そして、それら定性データもとに、必要に応じて定性データ(実績数値)を確認することによって、問題を出来るだけ正確に定義(理解)しなければならない。

そのことによって、業務改善の方向性は明確となり、行動計画を立てやすくし、活動のムダが少なくなる。結果として、得られる成果が拡大する可能性が増す。

また一つ付け加えるならば、これら業務改善には、企業規模の大小は関係ないと言える。小さい企業の方が、「方向性を変える」「やり方を変える」ということが出来やすい。
組織の大きい企業より、「スタートを切ること」と、「改善スピードを上げる」ということが出来やすいとも言える。

そして、何と言っても、リーダーシップの必要性は言うまでもない。
経営者、部長、店長、チーフなどが、共通課題として、認識を一として、実行状況を確認し、問題あれば早期に修正するという、チームとしての活動が成果を増す。

「楽しくやっている時が、一番生産性は高まる」と言われる。
私は、これには全く同感だ。
そのためには、チームで仲良く(時に厳しく)仕事をするということが重要である。
そして、作業自体を「簡単に、楽に、早く」進められるような方法や段取りを考えて、今までのやり方に捉われず、現場最適化の方法に素直に変えて行くことだ。

このような流れで、生産性アップの可能性は、確実に大きくなると言える。

楽しい、明るい未来を創造する

生産性が低くて苦しんでいる企業は、本当に多い。
しかし、特に、今まで業務改善に取りかかっていなければ、もしかしたら記録的な利益を出すことが出るかもしれない。創業以来の新記録を達成できるかもしれない。

あなたの会社が、生産性を高めて従来以上の成績を出すことができたらどうだろう。
他所ができてないサービスを、そして商品を、提供することができたらどうなるだろう。
従業員の報酬を、業界や地域産業の平均以上に上げることができたらどうだろう。
残業がほとんどなく、年間の出勤日数も業界標準より少なかったらどうだろう。

営業利益率を高めることが実現できれば、色々なことに思い切ってチャレンジができる。
失敗を怖がることなく、前向きに色々なことにチャレンジできるとしたらどうだろう。
また、生産性の高い設備や仕組みを導入することも可能になるだろう。
そして、それはさらに、全体の効率化を進め、生産性を高めることにつながっていく。

設備機器は、導入しただけで生産性が上がると思っていたら大間違いだ。
その使い方を間違えば、全く効果を出さないことも、事例として少なくない。
顧客管理システムやPOSシステムなどが、その典型である。

いくら処理能力が高い機器を入れたところで、それを使う方の知識(スキル)が低ければ、結果的に無駄な金使いに終わってしまう。

学び方の工夫と、得られる成果の違い

生産性を上げるということを正しく学習することが、結果的に良い結果を出すための早道になると、私は確信している。

学習していないから生産性が上がらない。これは当たり前のことだ。
だから、学習をすればいい。
実績を出している同業他社に教えを乞うことも出来るかもしれない。
実績を積んでいる、専門のコンサルタントに学ぶことも良いだろう。

しかし、この競争の厳しい時代、変化のスピードが速い時代には、その学び方も即戦力でないと、なかなか成長に繋げることが出来ないかもしれない。

例えば、本を読むこと、オーディオブックを聞くこと、そして、動画を観る(人の話を聞く)ことでは、内容にもよるが、理解力は圧倒的に違ってくる。ほとんどの場合、動画の方が高まる。

その典型が、取扱説明書などだ。やたらと文字の多いテキスト読むよりも、動画で分かりやすく解説しているものの方が、圧倒的に理解がしやすい。
そして、即時実行に移すことできる。
結果的に、早期に結果を出すことができる。

正しいお金と時間の投資

この変化のスピードが速い時代には、選択肢を誤ると取り残されることになる。
そのためにも、正しい投資をすることだ。

時間とお金を大切にすること。そして、その費用対効果を高めることを、しっかり念頭において活動することが必要である。

そのためには、経営者も、経営幹部も、各リーダー、各担当まで、目線を合わせることが、最も重要なことであるし、そのための時間が多少多めにかかって、結果的に早道になる。

社長だけが頑張っているが、従業員は冷めているという企業も、今まで多く見てきた。
個人のスキルに頼っている会社も少なくない。しかし、その出来る社員がいなくなると、一挙に生産性は下がってしまう。
要するに、生産性を高めるための『仕組みが無い』という状態である。

生産性が上がらないスーパーは、そういう『仕組み』が出来ていない。

繰り返しになるが、正しく学び、正しく問題を発見し、適切に課題の設定を行い、改善のスケジュールを組み立てることが必要であるし、何と言ってもリーダーシップを持って、現場がうまくいくように、導きフォローしてあげることの出来る仕組みを作ることが重要なことである。

その為には、教育訓練の様に、ソフト面の投資が必要になることを真に理解してもらいたい。

効果を出す、具体的な業務改善方法は、幾らでもある!

私が、クライアントの業務改善の現場で実施してもらっている、取組みの一部を紹介する。
どれか一つということではなく、企業の現状とその課題の重要度(貢献度)などより、優先順位と組み合わせて行い、目標設定や達成期限などを決めて、実行してもらう。

あくまでも、業務改善活動のその一部であり、実践できる内容は、さらに多く存在する。
実現効果を最大化するためには、当然、リーダーシップが重要であることは、言うまでもない。

(1)粗利益を増やすための、一部の取組み

  ①新たな価値を提供する新商品を開発する
  ②独自性のある新規商品を導入する
  ③売れるPOP(サイレントセールスマン)を掲示し、効果測定する
  ④売れる推奨販売を実施する
  ⑤関連購買、想起購買、衝動購買、条件購買を促す売場をつくる
  ⑥販売力のあのマグネット売場に変える
  ⑦数量管理レベルを上げて、値引き廃棄ロスを削減する
  ⑧    〃      、欠品を削減する
  ⑨直接取引を開拓する(切り替える)
  ⑩コピーライティングの技術で、値入れを拡大する
  ⑪ジョイントベンチャーで、独自商品(サービス)を開発する
  ⑫プロモーション力アップで、重点商品の売上を拡大する

(2)経費を減らすための、一部の取組み

  ①在庫削減で、あらゆる作業工数を減らす
  ②作業指示書の活用で、作業の制度アップと作業時間を短縮する
  ③マテハン機器の効果的活用で、作業処理量を増やす
  ④動作訓練で、作業スピードを速める
  ⑤月間稼働計画で、生産性の高い人時予算を決める
  ⑥レジの作業割り当て表で、適正人時投入をはかる
  ⑦単純作業(品出し作業、加工作業、事務作業など)を外注にする
  ⑧自動発注の仕組みを構築する
  ⑨効果測定によって、販促方法(フロントエンド、媒体)の見直しを行う
  ⑩見切り(修正)作業の方法(日時、段取りなど)の見直し工数削減
  ⑪電気代の削減システム(温度設定、清掃、調光、センサー、節電ユニットなど)
  ⑫包装資材等、削減の仕組み化


(3)不足するスキルの課題設定と教育訓練

  ①基本作業の標準レベルアップのための訓練
  ②数量管理、品質管理の実行知識教育
  ③マテハン機器の効果的活用訓練
  ④データの情報化と見える化、効果的活用法
  ⑤作業指示書の効果的活用法
  ⑥売れるPOP(サイレントセールスマン)作成法
  ⑦商品ライフサイクル図の作成と活用
  ⑧実践的、売り場展開計画と実践法
  ⑨科学的、効果的、人時投入計画法
  ⑩部門損益管理の仕組みづくりと実践的活用法
  ⑪コミュニケーション力(チーム化)アップ法
  ⑫実践的マネジメント・スキルアップ教育



コストが上がり、仕入れ原価が上がり、人件費が上がり、売上は伸びにくく、粗利益率は低下する。
この様なスーパーマーケットの経営環境は、もう過去の状態には戻らないと考えるべきだ。

その上に立って、将来の成長を考えることが重要である。
そのためには、効果を出さなくなった方法を止め、確実に効果を出す方法に変える必要がある。
その為には、リーダーは、その方法を学び、理解して、少しでも早く社内に広め、共有を進め実行してみることだ。

新たな時代にあっても、営業利益の拡大策は幾らでもあるのだから・・・。

この記事を書いたプロ

新谷千里

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