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新谷千里

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里(しんがいちさと) / 経営コンサルタント

有限会社サミットリテイリングセンター

コラム

100万円のロス削減は、売上高1億円アップに相当する! 経費率を下げて競争力を高める簡単な方法とは

2022年12月11日

テーマ:スーパーの業務改善

コラムカテゴリ:ビジネス

100万円のロス削減は、売上高1億円アップに相当する!  

スーパーマーケットは、食品を販売する業態であるから、総じて店舗の売上高が高くなる。

しかし、営業利益も高くなっているかというと、決してそうではなく、1%前後の低い営業利益の企業が少なくない。
そして、その多くが、経費率(固定経費)が高い。

在庫が多く、労働集約型で人件費も高くなる。投資の観点で考えると、あまり美味しい商売とは言いにくいかもしれない。

そして2022年、初めて経験するようなコストの高騰で、経費率の高い(生産性の低い)中小スーパーは、厳しい経営を余儀なくされている。

しかし、解決策が無いわけではない。
生産性の低いことを前向きに考えれば、それだけ、利益拡大の可能性が高いと考えることもできる。
厳しいだろうが、ネガティブに考えても何も良いことは無い。前向きにポジティブに考えたい。

フォーカスしたい、ロスという、美味しい隠れ資産?

店内には色々なロスがある。当然本部にもロスがある。
商品のロス、人時のロス、時間のロス、設備のロスなどなど、これら全ては、コストだ。

売上や粗利益、高騰している電気代は気にしているのに、これらのロスに気付いていない、無頓着な会社も多い。

私は、業務改善のコンサルタントということで、スーパーマーケットの現場に立つことが多い。
その現場では、多くのロスを発見することが出来る。
商品のロス、作業のロス、投入人時のロス、設備のロスなど、これらの全ては、ムダに日々使われてしまっている。固定経費化している。

重要なことは、各ロスの実績数値を、チーム全員で確認し、正しく理解し共有することだ。

100万円のロス削減は、売上高1億円アップと同等

例えば、営業利益が1%前後のスーパーマーケットは全国に数多くある。
また、1%に満たない企業も決して少なくない。
仮に、営業利益率1%の会社がロスを100万円削減すれば、売上高1億円がアップすることに等しい。
0.5%の営業利益の会社の場合は、2億円の売上アップということになる。

あなたが経営者だったらどう考えるだろう。
売上を1億円アップさせることは、そんなに簡単なことではないし、この厳しい競争の時代に、現実的に無理ではないだろうか。

ところが、ロスの削減なら実現可能だと思う。
私の業務改善のコンサルティングの経験から言えば、ロスを100万円程度減らすことは、そんなに難しいことではないし、実現しているクライアントの店舗は多い。

実際には、ロスを100万円削減するのに、特別に投入人数を必要としないし、ほとんどの場合、大きなコストも発生しない。
そして、現場のムダが減り、作業全般もスムーズに遂行できるようになる。

ロス削減の意味を、正しく理解しているか、していないかで、日々の営業活動は、大きく変わる。内容によっては、全く違う行動になる。

ロス削減に取り組んでいなければ、利益拡大の大きなチャンス

「生産性の向上」ということを聞けば、何か特別な難しいことをやるような、そんな想像をしている人もいるかもしれない。
しかし、決してそうではない。

ウィズコロナで、売上が下がり粗利益も下がり、色々なコストが上がり、営業利益は一挙に下がってしまった。
これを経験しているスーパーマーケットは、全国に多く存在すると思う。
企業が大きかろうが、小さかろうが、これ自体は全く関係ない。

これまでに、生産性向上の観点から、ロスの削減を考えて来なかった、また、具体的行動が取れていない。そして、大した成果を実現していないのであれば、そこには大きなチャンスがあると言える。

POSデータの実績(SKU)を確認し、必要に応じて発注数と在庫数の修正を行う(値引きロスや欠品削減)という、単品(数量)管理をやってみれば、100万円程度のロス削減は、決して難しいことじゃないことが解る。

例えば、総菜の米飯類だけでも、年間100~200万円程度のロス削減した事例は少なくないし、短期間で実現に出来る場合が多い。

欠品という美味しいムダ

ここまでの話は、値引きロスや廃棄ロスの話だ。
数量管理のレベルが低い場合、欠品も多くなる傾向にある。
欠品を減らすことができれば、当然上記の売上換算した金額は、さらに拡大することになる。
そして何より、お客さんの不満は大きく解消されることになる。

欠品を減らすための作業は、端末の発注時に、数値ボタンを変えるだけだ。
エネルギーは、余分に掛かるわけではない。

数量管理(単品管理)のレベルが上がれば、無駄な作業は減っていく。
作業が減るのであるから、投入人時(人件費)も下げることが出来る。
無駄な残業が発生しているのであれば、その残業を減らすことが出来る。

担当する社員は、早く家に帰って、家庭サービスをすることもできる。
小さな子供と遊ぶこともできる。思い出をつくることが出来る。

問題は経費率の高さ。目先の売上では解決できない!

繰り返すが、営業利益率1%の場合、100万円のロス削減は、1億円の売上アップ。
仮にこれが、0.5%しか営業利益が出ていなければ、なんと、2億円の売上アップに相当する。これは、数字の遊びではない。

今一度、自分に問いただしてもらいたい。
上記の数字の意味するところを、正しく理解しているだろうかい。
その改善方法を知っているだろうか。
そのための改善行動を取っているだろうか。
また、
ムダが改善されていない状況で、「目先の売上を上げよう」と考えてないだろうか?

これらのことで、NOが多ければ、出来るだけ早く改善のスイッチを入れるべきだ。
そして、その行動には、大きなチャンスがあることを理解してもらいたい。

競争は緩むことは無い・・・。

あなたのお店は、競争が厳しくないだろうか。
ドラッグストアやディスカウントストアは、進出してないだろうか。

ちなみに、私のクライアントで、田舎町でスーパーを経営しているところがある。
そこには、ここ数年で、ドラッグストアだけでも三店舗が進出してきた。
そして、なんと、同じ名前のドラッグストアが、数100mのとこにさらに支店を出す。
完全に、スーパーを潰しにかかっているとしか思えない。

脅かすわけではないが、こういう事例は、これから全国各地で増えていくだろう。

必要なことは、差別化戦略で、商品やサービスの独自性を出し、そして、それに磨きを掛け続けることだ。遣れることは、大小幾らでもあるはずだ。

そして、現場のあらゆるムダを発見して、ロスを減らして、生産性を高めていくことが、スーパーマーケットの生き残り戦略になる。

在庫は、大きな改善ポイントを教えてくれる

将来を考えた時に、生産性を高めるための一番の元は、無駄な在庫を持たないことだ。
それによって、鮮度を落とさないこと。そして、ムダな作業を発生させないことだ。
これが、生産性向上のための業務改善の基本中の基本である。

また、それによってムダな作業が減れば、ムダな時間は減るわけであるから、余って来た人時を戦略的な作業に振り向ける。

売場づくり、陳列演出、関連陳列、売れるPOP作り、重点商品の推奨販売や試食販売を行うなど、直接的に粗利益(付加価値)を拡大させる作業に向ける。
レジや売場における接客レベルを上げるために、皆でロールプレイングをやる様なことも良いだろう。

そして何より、そのための不足する知識やスキルが有れば、習得とそのレベルアップを計画的に行うことだ。中小企業の場合、内容によっては、補助金や助成金を使うこともできる。

「お客の体験価値をアップさせる」「お客のベネットを高める」。そのための販売計画。調査や分析。目的と実行方法を決める会議など、遣るべきことを優先して、計画的に実行することだ。

戦術ではなく、戦略的視点を持つことが重要

ただただ、目先の売り上げを負っていないだろうか・・・。
ただただ、よその真似をしてないだろうか・・・。

真似をすることが悪いわけじゃないが、それによって利益は上がっただろうか。
売上は上がっただろうか。
冷静に考えてもらいたい。

営業利益率がアップしない一番の原因(多くの場合)は、経費率が高いことだ。
その為には、コストリーダーシップ戦略を意識してもらいたい。
ローコストオペレーションが実現できれば、
1.戦略品目の売価を下げられる       
2.手持ち現金を増やす
3.経営戦略の選択肢が増える 
という様な、戦略的な大きなメリットを手にすることが可能となる。

そのためには、ロスの削減を行うことが、多くの企業に共通する課題である。
そして、それを実現することが、経営の自由度が高まることになる。

あなたの会社にも、大きな改善のチャンスが現場に有ると思う。
この厳しい環境は、これまでのやり方を変える必要があることを教えてくれている。
効果を生まなくなってきている、社内の行動を変えるチャンスがそこにある。

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