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第1章の1 弁護士との法律相談

2022年10月17日 公開 / 2022年10月24日更新

テーマ:企業法務の勘所

コラムカテゴリ:法律関連

第1章 法律の修得と活用

1 弁護士との法律相談

 企業法務は、弁護士との法律相談に始まる。
 その勘(かん)所(どころ)は、質問も回答も、文章にすること、文章にしてもらうこと。
 紙データではなく、電子データで。
 これらのデータは、企業内で蓄積・編集・全部門共通の財産にできるから。

 相談の始めは、企業側の人(質問者)が弁護士に文章で問う。
 その文章が意を尽くしていないと、弁護士が判断すれば,質問の趣旨を尋ねる。
 その質問に答え、趣旨を理解してもらえば、弁護士から文章をもって回答が返ってくる。

弁護士が書く文章の構成は、

質問の要旨を整理した上で、それに答える形のものになるが、
① 明確な結論を出し、
②法令上の根拠を示し、
③判例や裁判例を引用し、
④必要に応じて文献や官公庁がつくったガイドラインなどの引用や紹介をしてくれるはずだ。
してくれない場合は、してくれるよう弁護士に要請することだ。

 そのような文章による回答ならば、
そこに引用された、判決の結論を導く論理の過程など、論理的思考力を身に付けるに打ってつけの教材になる。
とともに、法律が面白くなることは間違いない。

 法律相談の効果は、

①弁護士にとっては、正確で最新の法律や法実務情報を、調べ、学び、提供し続ける習慣ができ、これが弁護士としての力を付けること。

②企業人にとっては、一歩先にある発展領域の法律問題を考える契機になり、かつ、自然に法的思考力(リーガルマインド)を身に付けること。

③質問する者、答える者とも、法律や法務の知識が、点から線、線から面に広がり、面から層に深まることにある。

要は、双方のスキルの磨きになることである。

 このような効果が得られるところからも、

法律相談の。問いと答えを文章にして残すことは、重要である。
 第二次世界大戦を勝利に導いた、英国の首相であったウインストン・チャーチルは、「伝えたいことは紙に書け。」と命じた。
 法律に関する質問と回答も同じである。
 文章(形)にすれば、風化することも変質することもないからである。
 ただ、現在は、紙に書くより電子データによる文章の方がよい。

 加えて、回答は迅速、的確、丁寧にすること。
 果物は旬の内に食すべきだから。 

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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