(補説) 不誠実な宅建業者には,大いなる制裁が・・・
顧客紹介で対価を得ても大丈夫!
前回、産業競争力強化法について、一文を書いたが、その中にある「グレーゾーン解消制度」は、超々便利な制度だ。
一例を挙げよう。
小売業者は、顧客層が厚い。
その豊富な顧客情報は、言わば宝だ。
宝を磨けば、光り出す。
小売業者が顧客さまに、不動産業者の会社情報を提供し、顧客と不動産業者を引き合わせる。
そして、両者が希望すれば両者間の面談に同席し、目出度く売買契約が成立するに至るまで努力をする。
その結果、顧客と不動産業者の間に、売買契約が成立した場合、小売業者は、不動産業者 から手数料を頂いても、問題にはならないか?
これは、いわゆるグレーゾーンの問題だった。
しかし、産業競争力強化法で「グレーゾーン解消制度」ができたおかげで、この問題は解決した。
すなわち、2016年(平成28年)6月15日、経済産業省と国土交通省の幹部が、鳩首凝議のうえで、次の条件下でなら、宅建業者でない事業者であっても、不動産業者から手数料をもらうのは問題なし、との結論を出したのだ。
すなわち、物件(不動産)の説明、契約成立に向けた取引条件の交渉・調整等の行為は、顧客と不動産業者との間で直接行い、顧客紹介事業者は一切関与しないという条件だ。
国は、このような宅建業者にあらざる事業者の、顧客紹介営業については、「一層の企業経済活動の拡大につながること」だとベタ褒めだ。
これらのことは、ホームページで「グレーゾーン解消制度・宅建業」を検索すれば出てくる。
問題が生ずる場合もあり、要注意事項もある。
それは、顧客紹介業者が、欲に駆られて、顧客さまからも、手数料を頂いたときだ。このときは、たちまち宅建業法違反に相成ってしまう。
ここは、気を付けなければならないところだ。
我ら弁護士は、顧問先企業から、ありとあらゆるグレーゾーンに属する問題について、していいか、してはいけないか、と問いかけられることが多々あるが、この「グレーゾーン解消制度」は、大いに活用すべきだと思う。