コラム
課徴金制度の総点検3
2019年4月22日
景品表示法(景表法)について
菊池:
景品表示法に違反する「優良誤認表示」と「有利誤認表示」の違いは何だい?
後藤:
「優良誤認表示」とは「自己の供給する商品又は役務の内容が、実際のものや競合する他の事業者のものよりも著しく優良であると表示すること」で、「有利誤認表示」とは「自己の供給する商品又は役務の取引条件について、実際のものや競合する他の事業者のものよりも著しく有利であると誤認させる表示のこと」だよ(景表法5条)。
菊池:その場合の「著しく優良」とか「著しく有利」とかの評価は、何を基準にするのだい?
後藤:基準は、客観的なものになるが、これはケースごと、具体的事情によって判断される。あらかじめその内容を知るというような目に見える標識はない。しかし、消費者庁が課徴金を課す場合は、あらかじめ「当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料」の提出を求めたうえで判断するので、その資料の中に、景品表示の内容が、客観的に真実であると思わせる科学的な典拠が示されているかで決まるよ。だから、事業者側がこの資料を提出しないと、違反行為に該当することが推定されるので(8条3項)、課徴金が課される可能性が高いね。
菊池:
景品表示法違反の場合、課徴金の額が少額の場合でも課されることがあるのかい?
後藤:
それはない。課徴金額が150万円未満の少額の場合は、課徴金の支払いは免除される(同法8条1項)。少額でなくとも、事業者が消費者庁の調査が入る前に、自主的に消費者庁に報告(自主申告)をすれば、課徴金の半額を減額してもらえる制度もあるよ(同法9条)。
菊池:景品表示法違反で課徴金を課せられた金額の例を教えてくれないか?
後藤:自動車メーカーがした根拠のない燃費データのケースでは4億8507万円、科学的根拠もないのに、飲むと痩せるとサプリメントに表示をしたケースでは1億886万円など、結構大きな金額の課徴金の例がある。最近、景表法違反で課徴金を課される事例が増加しているよ。
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