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菊池捷男

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菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

コラム

会社法の歴史 1 はじめは「商法」であった 「商法」はドイツ法に倣ったものだった。そして、戦後・

菊池と後藤の法律実務レポート(企業編)

2018年3月28日 / 2018年3月30日更新

菊池:のう,後藤!我が国の「会社法」は,平成17年に制定されたんだが,それまでは,「商法」の中で,会社に関する規律が定められていたよなあ。
後藤:そのとおりだよ。会社法という名称の法律は、平成17年までは存在しなかったんだが、商法の第二編に会社に関する規律が置かれていてね、それまでは、これを会社法とよんでいたんだ。大学の講義では、商法Ⅱとか商法(会社法)という科目名を使っていたがな。
菊池:のう,後藤!その商法は,我が国が自前で作ったというのではなく,外国から輸入したんだろう。
後藤:そうだよ。のう,菊池!お前は,フランスの有名な法学者であったボアソナードという人の名を知っているだろう。
菊池:ああ,知っているよ。ボアソナードという人物は,我が国が民法典を制定するために招聘した学者だろう。ところが,何故か,民法典はドイツ法を参考にして作られたんじゃなかったかな。
後藤:そうだ。よく知っているなあ。我が国は,フランス法に倣って民法典を作ろうとしたが,実際に作ったのはドイツ法に倣ったものだ。その理由を,菊池は知っているかい。
菊池:いいや。知らない。何故なんだい。
後藤:我が国が,民法の典拠を,フランス法からドイツ法に鞍替えした理由は,表向きは“フランスは共和制で,日本の天皇制と合わない”とか,“日本の家父長制度に合わない”とされている。俺など、中学校の時の社会科の授業ではそう習ったぞ。しかし、実際の理由は,普仏戦争(当時のリーダーは、鉄血宰相として有名なビスマルク)によって,フランスが簡単にドイツに負けたことにある、と聞いたことがあるが、俺もそう思うね。というのは,フランスが共和制で、家父長制をとっていないことなんぞ、明治政府はハナから知っていただろうし、そもそも当時の明治政府は,「殖産興業・富国強兵」を国是としていたのでね,弱い軍隊の国の制度を取り入れるわけにいかなかったというのがその理由だ,と思うね。
菊池:そういえば、そかもしれないなあ。というのはな、司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」によれば、当時、軍人は、普仏戦争の影響を受けて、留学先を敗戦国のフランスから戦勝国のドイツへ変える者が多かったようだから、民法典もドイツ法に倣え、という機運が起こったとしても不思議ではないものなあ。ところで、後藤の話は、民法が、フランス法ではなく、ドイツ法に倣ってつくられたという話だが,商法も同じなのかい?
後藤:そうだよ。商法は,民法を基礎に成り立っていることから,民法典をドイツ法に準拠させた以上は、商法典もドイツ商法に準拠して作るべきことになるだろう。そこで、明治政府は、ドイツ人学者ロエスレル(ロエスラーとも発音する,Roesler)を招聘して,明治32年にドイツ法に倣って、商法典を制定したんだよ。商法では、合名会社,合資会社,株式会社の順に規定を置いたが、その後,昭和13年にドイツ法を参考に,有限会社法が制定されているよ。もっとも、平成17年の会社法制定の時に、有限会社法が廃止されたので、現在残っている有限会社は、名前は有限会社であるが、法的には株式会社であり、会社法の規定が適用される。だから、現在の有限会社は、法律上は、「特例有限会社」と言われるよ。なんか変だよな。
歴史にイフ(if)はないが,もし普仏戦争がなければ,日本の法制度は,大きく変わっていただろうなあ。
菊池:へえ,歴史の面白さだね,その話は。ところで,後藤!商法、特に会社に関する第2編は、頻繁に改正されているなあ。また、平成17年の会社法も,10年もたたないうちに、また改正されているおり、民法に比べて,ずいぶん改正が多いじゃないか。商法や会社法の改正について,特徴的なことがあれば、一言してくれないか?
後藤:会社法は、いわばビジネスの基本法的性質を有するが、この分野は、経済・社会情勢の変化に対応しなければならないことから、他の基本六法に比べると、改正が多くなるのは仕方がないよ。その改正だが、歴史的には,多くあった。最も大きい改正の一つは、敗戦直後のGHQの占領下における昭和25年の改正だよ。この改正は,決定的にアメリカ法の影響を受けた改正だ。もう一つは、平成17年の会社法の制定に伴う改正だ。この時は、商法の中の会社に関する第2編がごっそり削除され、中身が大改正されて、会社法という名称の単行法が生まれたわけだ。それ以後の改正も、すべてアメリカ法の制度を導入するための改正だよ。
菊池:へ~。我が国の商法の典拠としては,フランス法を袖にしてドイツ法にしたが,今度は,アメリカ法に鞍替えしたということかい。
後藤:アメリカ法への鞍替えというのは正しくないぞ。戦後,商法の会社に関する第2編の規定は、アメリカ法の影響を受け,改正を続けているが,完全にアメリカ法に倣っているわけではないからな。しかし,昭和25年改正の時,授権資本制度,取締役会・代表取締役制度,株主代表訴訟制度を導入したり、株主総会の権限を縮小して、取締役の権限を拡大するなど,今日では当たり前と思っている制度が、アメリカ法から、ドッと入ってきたのだよ。そして,その後も,アメリカの制度が,我が国の商法や,平成17年以降は会社法に,取り入れられているんだ。社外取締役とか社外監査役の制度もアメリカの要請によって受け入れられた制度で、委員会設置会社(現在は、指名委員会等設置会社)などは、アメリカの会社制度をそのまま受け入れたものだよ。詳しい内容は,これから順次、解説していくよ。

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